元経済ヤクザが読み解く「日産事件と欧州覇権争いの深い関係」

フランスの「将軍」を追い落とすため?
猫組長

「黒い経済界」の常識

ゴーン氏が脱税と特別背任罪での追及が行われることは各報道で指摘されているのだが、この弁護士契約にゴーン氏の余罪を解き明かす鍵があると、私は考えている。

報道などによると、ゴーン氏は日産に60億円を出させてオランダにトンネル会社を設立し、そのうち20億円をタックスヘイブンのイギリス領バージン諸島に登記された複数の孫会社に移転。海外の高級住宅購入などに充てていたという。

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だが「脱税」の指摘について私は懐疑的だ。

私は石油で稼いだ金をロンダリングして、最終的には銀行ごとアメリカに没収された。その大きな理由の一つが、アメリカに住み、アメリカに「税金」というショバ代を払わなかったからだ。あの時、石油で儲けたカネをアメリカに収めて申告して税金を払えば、資産を没収されることはなかったはずだ。

納税は黒い経済人の自己防衛策。ゴーン氏が自らに捜査の手が伸びるとは考えていなかった理由は、「税金を払っているから」という安堵感にあったはずだ。

 

ゴーン氏が資産を国外に逃避させ、裏金を蓄財した可能性があることはオランダの件でも見えてくる。

捜査の過程で海外金融機関に資産開示請求をしたり、日産が海外に隠した裏金の返還請求を行った時、アメリカの弁護士は有効に機能するに違いない。一流の経営者と重ねては恐縮だが、自分が彼の立場であれば、間違いなく海外資産防衛のために腕の立つ弁護士を雇うだろう。また、ゴーン氏が自らの資産逃避を違法と考えていなければ、捜査の先手を打ってアメリカのすご腕弁護士を雇う必要はない。

地検特捜部は特別背任をもう一つのカードとしてちらつかせながら、ゴーン氏に金商法の自供を促していると考えるのが自然だ。これまで一貫して否認を貫いたゴーン氏が、12月6日に報酬に関する一部文書へのサインを認めたのは、こうしたせめぎ合いの結果と合理的に導き出せる。