自然災害大国で千年以上続く集落「千年村」をご存知ですか?

より豊かな普通さを獲得するために
千年村プロジェクト事務局

歴史は地域の実績

もう一つは茨城県行方市に所在する麻生地区(和名抄では麻生郷)である。麻生を含む行方一帯は「常陸国風土記」(721年成立)に大きく登場する日本有数の古くから続く地区であった。

多数の古墳が普通に点在し、山からは良好な湧き水が流れ霞ヶ浦に接続するその大地はまさに日本国土のミクロコスモスのような「全部あり」の地域なのだが、むしろこの環境の良さを評価するような基準軸があまり見つからず地域の良さを全国的にアピールできていなかった。

図8:行方市周辺の和名抄を根拠とした千年村候補地。行方市のほぼ全てである

しかしすでに都市近郊に所在する関東圏の地域として新たな居住者への受け入れ準備も進み、プロジェクトが訪れた時にはたくさんの地域遺産を啓発する広報活動がなされていた。

地元育ちで地域おこしのために地史の発信を盛んにおこなっているのが宮嵜和洋氏(32・株)フューチャーリンクネットワーク)である。宮嵜氏は私たちの招きに応じて行なったレクチャーでこう発言した。

図9 宮嵜和洋氏・茨城県行方市麻生地区在住

「地元出身の若者は言います。『行方市には何にもない。戻っても意味ない』と。実はそんなことはないのです。行方市には、他に引けを取らない唯一無二の歴史があるのです。何もないわけではなく、意識をしていないだけで、ありふれて身の回りにあるのです。それが地域の歴史です。

歴史は地域の実績です。歴史はお金で買うことが出来ません。歴史は欲しくても手に入れられるものでもありません。先人たちがこの土地で生きてきた証を、今こそ我々が興味を持ち、積極的に継承・伝承することによって、生まれ育った郷土に誇りをもたなければならないと思います」(第二回 千年村シンポジウム「千年村はいかに可能か」、2017年11月25日、早稲田大学西早稲田キャンパスにて開催)

 

すでに麻生地区はプロジェクト側が独自に千年村認証を2017年3月に行なっていた。それを地域がうまく活用してくれた例であった。

行方市のパンフレットに掲載された麻生地区は認証千年村として晴れがましく紹介されている。地元の八坂神社に認証千年村の看板も立った。

図10:麻生地区の八坂神社内に建てられた認証千年村の看板

そして年に一回行う千年村プロジェクトの大会は、今年度は来年三月に麻生地区付近でとりおこなわれる。

その開催を担っているのはプロジェクトから行方市に地域おこし協力隊として就職してしまった元学生の松木直人氏(26)である。

彼は麻生以外の他の地域からの認証要請の受諾に向けて、認証プロセスやチェックリストの説明会など大会では様々なプログラムを準備中である。

図11:松木直人氏、千年村ロゴマークから派生したゆるキャラ「ムラちゃん」と

プロジェクトに辻武史氏から連絡が入った。12月13、14日に東京日本橋の三重県のアンテナショップ三重テラスを借り、山田井で自分が作った米をみんなで食べるお祭りを行うという。

13日はお米と音楽のイベント、14日は麻生の松木氏が持参する佃煮などをおにぎりにして食べるたらふく会だ。松木氏と共に東西千年村対談も企画している。