金利をあげれば「デフレは終わる」といえるこれだけの理由

ゾンビ企業から個人の預貯金にお金を
大原 浩 プロフィール

「需要」が無いのに資金を「供給」しても意味が無い。結局、消費しきれなかった資金は中央銀行に還流するものを除けば、株式や不動産などの資産の購入へと向かい資産インフレを起こす。これまでの不動産価格の上昇は、このような構造に支えられているのだ。

不動産に関しては、人口の減少やIT化による不動産需要の現象も含めて将来の見通しが暗いのに対して、現在の日本の不動産価格は高すぎる(9月17日の当サイト記事「一般投資家はこの先、日本の不動産には手を出してはいけない」)。日本の1980年代のバブルで一般消費財の価格があまり上昇しないのに土地や株式の価格だけが高騰したのがその典型であり、現在の日本もそれに近い状況にある。

ただし、日本の株式については、筆者個人は強気の見通しを持っている。(当サイト10月6日「今後4半世紀の間に日経平均株価は10万円に達することができる」)。2020年に東京オリンピック、25年に大阪万博が開催されるということもある。

しかし、より本質的には、少なからぬ企業が低金利の終了によって崩壊する中で、優良企業がそれらのゾンビ企業の呪縛から解き放たれ、高金利経済の中で「生存者利益」を享受するからである。したがって、全体の株価が上昇するとはいえ、投資先としてどの企業を選択するのかは極めて重要である。

 

発想の逆転

低金利政策が、場合によっては経済の底上げをサポートすることがあるのは否定しない。

しかし、アベノミクスと連動した緩和政策だけでも2012年末から数えてもう6年になる。欧州もリーマン・ショックやギリシャ危機以降、緩和政策を続けているが芳しい成果は無く、フランスではマクロン政権を揺るがす「黄色いベスト」のデモで死者まで出ている。

米国は、比較的緩和政策がうまくいっているケースだが「米国社会は借金をしてまで消費する人々」が少なくないことを忘れてはならない。
 
日本や欧州でもローンを組む人々はたくさんいるが、カードを何枚もつくって消費しカード破産する人々はごくわずかだ。また、米国のようにカード破産した人にすぐまた新規カードを発行することも行わない。

米国の例が端的に示すように、金融緩和は「消費需要」とセットでなければ効果を発揮しない。繰り返すが米国は借金で消費する社会だから金融緩和が効果的なのだ。クレジットカードの使用を極力控える堅実な消費者が多い日本社会では、金融緩和の消費浮揚効果は薄い。馬鹿の一つ覚えのような日本の超金融緩和はもう終わりにするべきではないか?

金利上昇によってゾンビ企業が倒産するという副作用はあるが、もともとゾンビ企業は墓の中で安らかに眠っているべきであったのだ。

高金利によって消滅するゾンビ企業、あるいは、米中による「第2次冷戦」によって今後、世界市場から消え去ると思われる共産党政府の中国などの「安売り国家」との消耗戦から優良企業が脱出すれば、創意工夫にあふれた彼らの挑戦的なビジネスで消費要が喚起されるはずである。

もっと大きいのは、金利上昇によって将来不安が無くなり、手元の現金も増える消費者の積極的な購買行動である。これは「株価上昇」によって高級車を何台も買う「資産効果」というものが確実に存在することから、疑いが無い。

要は、大企業とゾンビ企業への補助金である「低金利」をやめて、その資金を金利上昇という形で、国民の預貯金に分配すればよいということだ。

金利が上昇すれば、将来不安も無くなるので、国民は確実に消費する。その消費によってインフレが起こり、景気もさらに上向きになるはずである。

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