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在日中国人が悩む「日本の学校ユルすぎ、子ども入れて大丈夫か」問題

有名私立か中華学校か、揺れ動く親たち
中島 恵 プロフィール

「テストが少なすぎる」「宿題が少なすぎる」

その女性はこう語る。

「悪い意味ではなくて、日本人の場合は、そこそこがんばれば、ある程度やっていけるのです。だってここは日本で、日本人の国なのですから。日本人にはさまざまな選択肢があります。でも、私たちは “マイノリティ”、どんなにこの国に長く住んでも、やはり外国人なんですよね。

中国人と日本人、まったく同じ成績だったら、日本人のほうが有利だし、就職でも先に採用されるでしょう? それは仕方がないこと。

だから、私たちは日本人よりもがんばらなくちゃいけないんだ、という気持ちで、日本のゆるい教育に流されることなく、歯をくいしばってやってきたんです。それは、子どもはこの国で暮らしていくんだから、という意思表示でもありますね」

 

彼らが日本の教育を「ゆるい」というのは、あくまでも母国・中国との比較に過ぎないのだが、たとえば「宿題の量が少なすぎる」、「テストが少なすぎる」などの例を挙げる人が多い。

中国では普通の小学生でも宿題は毎晩11時までかかっても終わらないほどの量で、テストも毎日のように行われているからだ。テストのたびに成績も発表され、優秀な順にクラス分けされる。中国では中高でも日本人が考えるような本格的なクラブ活動はほとんどなく、恋愛禁止、勉強一辺倒の生活を送ることがごく普通だ。

〔PHOTO〕iStock

当然、日本の学校の「ゆるさ」は、現在子どもの進学先を選んでいる在日中国人にとってみれば迷いを生じさせる要因となる。それゆえ、冒頭の張琳さんのように不安を抱えてしまう人がいるのだ。

「最低でも早慶以上でなければ」

とはいえ、子どもを東工大に入れた女性のように、スパルタを意識して子どもを育て、日本の一流大学に進学する子どもはかなり多い。

帰化している例もあるため、中国人の子弟の日本での進学率を示す統計はないが、日本人の私の友人で、都内の学校に中高生を通わせている親からも「うちの子のクラスメートに中国人がいて成績優秀だ」という声は頻繁に聞こえてくる。10年前までは考えられなかったことだ。

私が取材した趙剛さんは在日中国人2世で慶応義塾大学の学生。中国の内陸部出身の両親はともに20年以上前に来日し、都内の一流企業に勤務している。

趙さんは父親が親しくしている中国人家族と食事会やゴルフに出かけることがあるそうだが、そこで一緒になる子息たちは、多くが東京大学や京都大学など国立の名門校の出身ばかりだったとか。

「びっくりしたんですよね。大学院まで行っている人もかなりいました。私は少年野球をやってきて、中学から慶応でした。ずっと野球漬けの学生生活を送ってきたので、ちょっと肩身が狭くて……。

彼らに会うのは気が引けました。父の友人の中国人コミュニティでは、私のような存在は少数派かもしれません。皆エリートで教育熱心な人が多く、『(子どもの)大学は最低でも早慶以上でなければね……』という雰囲気でした」