Photo by iStock

「遺されたペット」が不幸にならないためにあなたができること

ひとりと一匹で暮らす人の最大の心配事

わが子に頼るのは危険

「亡くなった飼い主と一緒に見つかった猫(15歳・メス)は、ひどく衰弱していました。約1週間、トイレの水を飲み、命をつないだようです。

その後、無事に保護されましたが、ダメージは残りました。猫は普通、少しずつ餌を食べますが、飢餓状態を味わうと、一気にがっつくようになるのです。空腹で猫砂を食べることもありました」

そう語るのは、動物愛護団体「ランコントレ・ミグノン」の代表、友森玲子氏だ。伴侶に先立たれた後、寂しいからという理由でペットを飼い始める人は多い。

ひとりと一匹で暮らし始めた人たちにとって最大の心配事が、「自分の死後、この子たちはどうなってしまうのか」ということだ。

実際、老いたペットを老いた飼い主が飼う「老老愛育」で先に飼い主が亡くなり、ペットが不幸な運命をたどるケースが多発している。友森氏は語る。

「飼い主に悪意はなくとも、ペットが犠牲になってしまう。遺された家族がいても、飼うのを押し付け合うことも多い。

孫は成長すれば自立できますが、ペットは飼い主がいないと生きていけません。だから飼う前に、ペットと自分の寿命をよく考える必要があります」

老人ホームへの入居や、介護、入院などで飼育が困難になることもある。飼い主の都合でペットを不幸にしないために、どんな準備ができるのか。NPO法人「人と動物の共生センター」理事長の奥田順之氏が解説する。

「最近は保健所も、殺処分を避けるため簡単には引き取ってくれません。まずは身近な家族、親族の中で万が一のときペットをどうするか、相談をしておきましょう」

ただ、子供のマンションがペット不可であるなど、身近に引き取り手がいない場合もある。孫がアレルギーを持っていることだってあるだろう。

その場合、自分が亡くなったら、ペットを里親に出すよう子供に頼んでおくという選択肢もある。ただ、長年連れ添ったペットを里親に出そうとすると、すでに手遅れである場合も多い。前出の友森氏が語る。

「10歳を超えたら、里親は絶望的です。歳をとった犬や猫は、残された寿命も短く、認知症になっていることもある。

病気の場合の治療費や介護費用もかかります。新しい飼い主が見つからず、動物愛護センターや、愛護団体のシェルターで亡くなることが多いです」

 

一緒に老いを経験してきたワンちゃん、猫ちゃんの居場所として増えているのが、老犬・老猫ホームだ。「東京ペットホーム」の渡部帝氏が語る。

「老犬・老猫ホームでは、飼い主に代わりペットのお世話をします。老人ホーム同様、入居費用と年ごとの飼養費がかかります。

小型犬であれば、入居に約20万~30万円、飼養費は年間40万~60万円程度かかります。その分、個室を用意する、1匹ずつ健康管理をするなど、行き届いたサービスができます。

さらに飼い主の希望に沿い、介護や延命医療を受けることもできます。面会も可能で、最後は、提携するペット霊園に入るまで面倒を見ます」

'13年に約20施設しかなかった老犬・老猫ホームも、'17年には約120施設まで増加した。頼れる家族がない人は、自分が生きているうちに、愛するペットを老犬・老猫ホームに入れる決断をしたほうがいいかもしれない。

ただし「もぐり」の施設や、悪質な「引き取り屋」には注意が必要だ。

「老犬・老猫ホームは簡単に作ることができてしまう。スタッフ一人あたりの飼育頭数が約50頭なんてところもあり、まともに散歩もできません。

預けたきり面会することもできない『引き取り屋』も悪質です。衛生観念がなく、糞が堆積しているとか、病気を放置している、などの問題は耳にします」(渡部氏)

子供が、遺されたペットを、こうした劣悪な環境の施設に入れる可能性もある。その前に、自分で信頼できる施設を見つけておくとよいだろう。