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# マーケティング

自転車シェアのセブン、ジム併設のファミマ…コンビニのすごい新戦略

「滞在型店舗」がこれからの鍵となる
「商売の本質は、こちらが何を売りたいかではなく、お客様の目線に立つことである」。そう断言するのは、著書『売上がぐいぐい伸びるお客様の動かし方』で知られるマーケティングコンサルタント、理央周氏だ。理央氏が注目するのが、いま踊り場にいるコンビニ各社の新たな戦略。中でもファミリーマートは、店舗にコインランドリーや、フィットネスジムを併設するなど、ユニークな試みで停滞を打破しようとしている。そんなファミリーマートの狙いについて解説してもらった。

コンビニ各社の新たな一手

コンビニエンスストアは現在、全国で約5.5万店あると言われています。まさに、「あちこちにある」という実感に見合う数字です。

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1990年代半ば以降、景気が低迷した時にはスーパーや百貨店などの小売業が売上を落としましたが、コンビニは逆に売上を伸ばしました。市場規模ではスーパーに及びませんが、すでに百貨店を上回り、小売りの中心的存在です。

とはいえ、これまでずっと順風満帆だったわけではありません。小さな踊り場は何度も経験しています。

たとえば規制緩和でドラッグストアの出店が増えた際、大規模小売店舗法の改正で大型スーパーが増えた際にも、苦戦したことがありました。

そのたび、コンビニはさまざまな工夫をこらして、来店促進に努めてきました。物販という枠を超え、宅配便を出せるサービス、公共料金の支払いサービス、銀行のATMサービスなどに取り組み、お客様の利便性や付加価値を追求する努力をしてきています。その結果、多くの人が足を運ぶ業態のお店として成長してきたわけです。

そして現在、コンビニはまた踊り場にさしかかっていると言えます。既存店の売上高伸び率が減速しているのです。

 

そこで、この問題に対する次の打ち手として出てきたのが、滞在型店舗です。ファミリーマートの場合、コインランドリー・サービスを開始しました。

コインランドリーの需要は、都市部を中心に増えています。共働きや単身世帯からのニーズが多く、新規出店数だけ見てみると、コンビニをしのぐ勢いがあります。

そこに着目したファミリーマートは、コンビニにコインランドリーという付加価値を追加しようとしたのです。当然ながら、コインランドリーに預けに来たお客様は、コンビニで“ついで買い”してくれる可能性があります。

ファミマは、さらに「Fit & GO」というフィットネスジムを併設する店舗も開始。これも滞在型店舗戦略の一環でしょう。ジムの主要顧客は20~40代ということもあって、コンビニの客層とも一致します。

コンビニではタオルなどフィットネス用品も扱い、物販の売上向上も狙っています。もしかしたら、シャツや靴下も買ってくれるかもしれません。

ジムで一汗流したお客様は、コンビニのイートインコーナーで喉を潤すこともあるでしょう。ビールを1本開けることもあるかもしれません。

「ちょっと寄る」だけの店なら「ちょっと買う」だけかもしれませんが、「ある程度の時間、滞在する」店なら購入額も上がる可能性が高くなります。