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大塚英樹がアサヒ飲料社長に迫る!「幸運思考」がビジネスの原点 

岸上克彦社長の「ブランドを磨く」哲学
ジャーナリスト・大塚英樹氏は、長年にわたり企業経営の最前線で「企業のトップ」という存在をウォッチしてきた。その中でいま、大きな変化が起きていることを感じている。大塚氏は近著『確信と覚悟の経営 ーー社長の成功戦略を解明する』で、16人の日本を代表する企業トップにその「確信」と「覚悟」を聞いた。短期連載でお送りする。11回目の今回は、岸上克彦アサヒ飲料社長のピンチをチャンスと考える発想・思考にアプローチする。

顧客にブランドの〝氏素性〟を訴える  

私は、成功者に共通するのは「自分は運がいい」と思える人だと考えている。

人は同じような体験、経験をしたときでも、その受け止め方は千差万別。

そこでいつも「ああ、俺はなんて運がいいんだ」と思える人、特に失敗や挫折をして、なお「幸運だ」「得難い経験だ」と捉えられる人がを呼び、成功している。

カルピス出身で、アサヒ飲料社長に上り詰めた岸上克彦も、そんな「幸運思考」の持ち主だ。

岸上克彦アサヒ飲料社長 撮影=中村介架

相性の悪い上司についたり、嫌いな同僚と一緒に仕事をする機会があっても、「自分自身を鍛えるいいチャンスだ」と考えた。

また、カルピスが味の素の傘下に入ったときは、「大企業文化を学べる機会だ」、さらに、味の素の100%出資子会社化されると、「事業を世界展開する好機だ」と考えた。

そしてアサヒグループホールディングスに買収されたときは、「成長の始まり」と考えた。  

 

2016年1月、カルピスがアサヒ飲料と合併し、社長に就任すると、岸上は、「アサヒ飲料の前へ進む風土をカルピスの深堀する文化と融合させてシナジー効果を出したい」と抱負を語った。  

岸上は現在、スローガン「ブランドを磨き、ブランドで挑む」を掲げ、全社挙げて〝ブランドの付加価値化〟に取り組んでいる。

その本気度の強さは、2016年、ブランド・商品について営業、生産、研究、マーケティングなど関連部門全体で討議する「マーケティング会議」を設置、さらに2017年、アサヒブランドの知識に精通する社員にブランドマスターの称号を与える「ブランドマスター制度」を新設したことからも頷ける。  

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ブランドの付加価値とは、「三ツ矢」「アサヒ十六茶」「カルピス」など各ブランドの基本的価値を見直し、顧客にブランドの〝氏素性〟を訴えていくこと。

そのキーワードは「健康感」。それも天然、カフェインゼロ、ノンカロリーなどボトムの健康感から、特定保健用食品(トクホ)、機能性表示食品に至るまで幅広い健康感だ。

アサヒブランドは安全、安心、元気が出るというイメージを浸透させる。