Photo by gettyimages

応援したくなる!外国人労働者たちの「斬新すぎる」日本語の使い方

握り飯はあたためますな?

街中でよく見かけるのに、普段はすれ違うばかりの外国人労働者。今週の週刊現代では、失敗しながらもひたむきに日本語を学ぼうと涙ぐましい努力をする彼らの姿を特集している。

切実さが伝わってくる

「ボクは、危険が、いっぱいありマス」

居酒屋のアルバイトの面接を受けた来日4年目のメキシコ人・ライアンさん(22歳・仮名)は、自己PRを聞かれると、自信満々にそう答えた。

応募理由や勤務希望時期など、それまでの質問には流暢に返せていたため手ごたえがあった。しかし、明らかに狼狽している店長の様子に、ライアンさんは自身の言い間違いに気づく。

「スミマセン、まちがえました。ケーケンです」

これは、「危険」と「経験」が混ざってしまったというわけだ。過去にも飲食店で働いていたことを知ってもらい、適応力の高さをアピールするはずが、不敵な自己紹介になったのだから驚かれるのも無理はない。

いま、政府は外国人労働者を本格的に受け入れようと積極的に舵を切っている。現状でも、在留外国人(日本に住むすべての外国人)の数は約263万人で、都道府県の人口ランキングで全国12位の広島県の人口に迫る勢いだ。

外国人がコンビニで働いている光景は、もはや当たり前のものとなっている。

しかし、日本における外国人労働者は、弱い立場に置かれているのが現状だ。最近でも、12月3日に三重県のシャープ亀山工場で外国人労働者約3000人が雇い止めされていたことが明らかになった。

また、外国人技能実習生の多くが最低賃金を下回る給料で働かされていた事実も報道されるなど、様々な問題が噴出している。

一方、普通に働けている外国人でも、冒頭の話のように慣れない言語に苦戦している例は数多い。そして、その実態はあまり知られていないだろう。

今回、本誌は日本で暮らす外国人に取材を重ねた。誰もが、異国の地に馴染もうと日本語の習得に悪戦苦闘する姿が伝わってくる。

なかには、「早く子どもができたいデス」というような、間違いではあるけれど切実さが伝わってきて正解にしてあげたい誤用や、日本語の奥深さをあらためて再発見できる誤用もある。さっそく紹介しよう。

東京の高田馬場で、ミャンマー料理店「ミンガラバー」を経営するミャンマー人女性のユユウェイさん(56歳)は苦笑しながら振り返る。

「約30年前に来日しましたが、最初は恥ずかしい思いばかりしていました。母国のミャンマーでも勉強していたので読み書きはできたのですが、会話はおぼつかなかった。

まだ珍しかったパクチー料理を出すときに『独特な香りがしますが、大丈夫ですか?』と聞こうとしたのに、『あなた臭いよ? 大丈夫?』と言ってしまい、お客さんは困っていました」

居酒屋で働く来日9年目のインド人女性・チャリタリさん(29歳・仮名)は、日本語が話せるようになってからも相手の言葉を額面通りに受け取ってトラブルになったことがあったと話す。

「団体客の中に『私は甘いものに弱くてね』と言っていた方がいました。『苦手なのかな』と思い、その人にだけ最後のデザートを出さなかったのですが、本当は大好物ということを伝えたかったみたいで、怒っていました」

たしかに、「寒さに弱い」と言われたら部屋を暖かくする。日本人でさえ、両者の違いを説明できる人は少ないのだから、彼女が間違えたのも無理はない。

来日32年目の中国人ジャーナリストの周来友さん(55歳)は、敬語に苦しんだ経験がある。

「散髪してもらったことを話そうと、日本語学校の先生に『オトコヤ(床屋)に行きました』と言って笑われました。ちょうど敬語を勉強している最中で、『お』をつければなんでも丁寧語になると考えていたのです」

来日14年目のタイ人男性・ワユパブさん(33歳・仮名)は、取引先の役員の自宅に行ったところ、役員の娘がでてきた。そこで「父親はいますか」を丁寧に言おうとした結果、「おちちはございますか?」と話しかけてしまい、あわや通報されかけてしまったという。