日本中で患者が急増中…! 知っておきたい「子宮体がん」のこと

パートナーのため男子諸兄も心得るべし
からだとこころ編集部 プロフィール

実は頸がんより増えている体がんの治療患者数!

それに対して、子宮体がんは、欧米ではもともと患者数が多かったのですが、日本では頸がんにくらべて多くはありませんでした。ところが、じわじわと患者数が増え、下表を見ていただくとわかりますが、治療を受けている患者さんの数が、子宮頸がんより子宮体がんの方が多くなってしまいました

【図(グラフ)】子宮体がんと子宮頸がんの患者数推移
  子宮頸がんと子宮体がんの治療患者数の推移(日本産科婦人科学会学会「婦人科腫瘍委員会報告」をもとに作成)

また、治療中の患者さんの人数だけでなく、新たに診断される患者さんの人数も増えており、この傾向はなんと、今後も続くと予想されているのです!

患者さんの増加はここ最近の傾向だったため、子宮体がんの情報は、子宮頸がんにくらべてあまり多くありません。子宮頸がんについては、男性の方も耳にしたことがあると思いますが、子宮体がんについては知らない方も多いのではないでしょうか?

「情報が少ないのに、患者数が増えている」と聞くと、女性の方はもちろん、妻や母親のことを考えれば男性諸氏だって不安になってくるところでしょう。どのような原因でできるがんなのでしょうか?

【写真】男性も人ごとではない
  患者の増加という現実に、男性も人ごとではないはずだ photo by gettyimages

子宮体がんの原因は? なぜ患者数が増加したの?

こうした、子宮体がんの患者数増加の原因は、食生活の欧米化や少子化・晩婚化など、ライフスタイルの変化だといわれています。海外では生活習慣病扱いの国もあるほどです。これらのリスクがどのように発がんに関係しているのでしょうか?

子宮体がんの発生には、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)の関与が考えられています。エストロゲンは子宮内膜を増殖させる働きがあります。妊娠した場合は、受精卵が着床する準備を促し、妊娠しなければ分泌量が減って内膜は剥離して体外へ排出されます。この一連の変化が女性の性周期で、増殖した内膜の剥離・排出が月経です(下図)。

【図】ホルモンと至急な膜の関係
  子宮内膜の変化と女性ホルモンの関係。拡大表示はこちら(参考『新しい人体の教科書 下』)

しかし、この周期が何らかの原因で乱れると、体内のエストロゲンが過剰な状態が持続し、内膜の増殖も過剰になります。この過剰増殖によって内膜が肥厚(子宮内膜増殖症という状態)して、がん化した組織が生じやすくなります。このがん化した組織こそ、子宮体がんなのです。

エストロゲンを過剰な状態にしやすい環境が肥満です。食生活の欧米化によって高脂質・高カロリーの食事に傾き肥満になりやすくなったことで、脂肪組織を産生母体とするエストロゲンの体内量(血中濃度)が多くなりやすくなります。その結果、エストロゲンによる刺激が過剰な環境を生み出し、結果的に子宮体がん増加の一因になっていると考えられています。

【写真】肥満は子宮体がんのリスク要因
  肥満は子宮体がんの最も危険なリスク要因だ photo by gettyimage

また、初経から閉経までの期間が長い場合も、エストロゲンの刺激を受ける期間が長くなるため、子宮体がんになりやすい、といわれています。月経不順も、女性ホルモンのバランスを欠くため、子宮体がんのリスクになるといわれています。未産婦が経産婦に比べてリスクが高いという報告もあります。女性のライフスタイルの変化が関与しているのでは、とされているのは、このためです。

なお、子宮体がんには、頻度は少ないながらエストロゲンが関与しないタイプもあり、原因ははっきりわかっていませんが、1つの要因だけでなく、いくつかの要因が関連しあって生じるといわれています。

本記事では、特に断りのないかぎり、エストロゲンが関与するタイプでご説明します。

「子宮がん検診」、子宮体がんはスルー!?

ところが、これまで日本人には患者数が多くないことから、職場や自治体で行われている子宮がん検診の対象は子宮頸がんとされ、子宮体がんは含まれないことがほとんど(!)です。

なぜ、子宮体がんは対象となっていないのでしょうか?

子宮体がんは、子宮体部の内膜の細胞を診断(子宮内膜細胞診といいます)する必要があります。しかし、子宮頸部の細胞診(こちらを子宮頸部細胞診といいます)に比べて手技が煩雑であること、検査時に痛みを伴うことが多いことや、コストの問題もあり、無症状の方も含めたすべての女性を検診の対象とするのは現実的でないとされているからなのです。

「では、子宮体がんはスルーなの?」とお思いかもしれませんが、決してそうではありません。子宮頸がん検診時に、症状やリスクのある女性を対象として子宮体がんをチェックしています。特に、前がん段階や初期段階では無症状であることが多い頸がんに対して、不正出血があると体がんを疑う重要な指標となります。

子宮頸がん検診の際に問診票の記入を求められますが、この時の情報が非常に大切になるので、正確に記入するようにしなければなりません。また、心配だけれど子宮頸がん検診しか受けなかったという方は、ご自身で婦人科を受診することも考えた方が良いでしょう

自治体により助成がないこともあります。お住まいの自治体にご確認ください。

子宮頸がん検診時に子宮体がん検診を考慮する場合

  1. 過去6ヵ月以内に不正出血があった
  2. つぎのいずれかの場合
    • 50歳以上
    • 35歳以上の未妊婦で月経不規則 
    • 閉経以後 
  3. 医師が必要と認めた場合
    • 子宮肥大
    • 内膜肥厚
    • その他