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日本中で患者が急増中…! 知っておきたい「子宮体がん」のこと

パートナーのため男子諸兄も心得るべし

がんの啓発運動にリボンが使われているのをご存知の方も多いと思います。リボンの色はがんごとに決められ、現在16種類のリボンがあるそうです。乳がんのピンクリボンは有名ですが、このほかにも大腸がんはブルー、肺がんはパール、前立腺がんはライトブルーといった具合です(NPO法人キャンサーネットジャパンのfacebookより)。

ではピーチって何がんだかわかりますか? え? ピンクとは違うの? 

ピーチリボンは子宮体がん。実はこの子宮体がん、最近は患者数が急増しているそうなのですが、子宮頸がんの陰に隠れて、情報が意外にありません。今回は、子宮体がんの気になる疑問に専門医がこたえる本、『Q&Aでよくわかる「子宮体がん」』から、このがんの概要を見てみたいと思います。

子宮にできるがんは2種類ある!

女性特有のがんとして、乳がんとともによく知られているのが、子宮にできるがんです。ご存知のように子宮は、女性生殖器の1つで、骨盤の内側、膀胱と直腸のあいだにあります。

子宮は、外部に通じる膣側の頸部と、胎児が育つ袋状の体部に2分されます。壁は厚い筋肉でできていますが、内側は粘膜で覆われており、それぞれ「子宮筋層」「子宮内膜」とよばれています。

  子宮の位置と構造。拡大画像はこちら

子宮にできるがんには、発生する場所や組織タイプの違う2つのがんがあります。ひとつは子宮の頸部にできる「子宮頸がん」、もうひとつは体部にできる「子宮体がん」です。この2つのがんは、同じ子宮という臓器にできるものの、できる場所だけでなく、がんとしてのタイプも、発症年齢のピークも違う、全く異なるがんなのです。

子宮にできる2つのがんの比較

  1. 子宮頸がん
    • 好発年齢:30〜40代にピーク。比較的若い年齢に多い
    • リスクファクター:高リスク型ヒト・パピローマウイルス感染
    • がん組織のタイプ:80%が扁平上皮がん
    • がんの前段階(前がん病変):子宮頸部異形成、上皮内がん
  2. 子宮体がん
    • 好発年齢:50〜60代にピーク
    • リスクファクター:肥満、高血圧、糖尿病、未妊婦、未産婦、エストロゲン製剤の長期使用
    • がん組織のタイプ:95%が腺がん
    • がんの前段階(前がん病変):子宮内膜異型増殖症

がん検診の普及で患者の減った子宮頸がん

このうち、子宮頸部にできる子宮頸がんは、全国レベルでの啓蒙活動の結果、多くの人に知られるようになりました。職場や自治体で行われているがん検診でも、子宮頸がん検診の受診が推奨されています。ヒトパピローマウイルスの持続的感染が原因とされ、ワクチンもあります

現在、副反応の問題から、ワクチンの積極的な接種勧奨は控えられています。

子宮頸がんの病理学的ながん化の過程として、

  1. 異形成(組織の細胞が正常では見られない形態になる)・軽度
  2. 異形成・中等度
  3. 異形成・高度
  4. 上皮内がん(がん細胞が上皮内に留まっている)
  5. 浸潤がん(上皮に留まらないで周囲〔間質〕に広がる)

と段階が進んでいきます。上皮内がんは、子宮頸がんの場合、がんのはじめの段階である〈0期〉とされていましたが、今ではがんとして扱われていません。異形成から上皮内がんまでを「前がん病変」とされています。

子宮頸がんは、上皮内がんの段階まで無症状であることが多く、浸潤がんまで進行して〈性交後出血〉〈帯下(おりもの)〉などの異常が認められるようになります。

子宮頸がん検診では、自覚症状の見られない異形成、もしくは上皮内がんの「前がん病変」の段階で見つかることが多いので、早い段階で対処することができます。そのため、子宮頸がんでは検診が大変重要であり、検診の普及が患者数の減少につながったといえるでしょう。

【写真】子宮頸がんでは検診が重要
  子宮頸がんの場合、検診が大変重要である photo by gettyimages