日本海と太平洋の「別離は450万年前」海底からその理由も判明!

「孤高の海」はこうして生まれた
サイエンスポータル プロフィール

動物の骨や歯には、海水に含まれるネオジムという金属を取り込みながら海底に埋もれていく性質がある。深く埋まった骨を分析すれば、当時の海水に溶けていたネオジムがわかる。

ネオジムにはいくつかの種類があり、種類ごとの割合は、「北太平洋の深層の海水」「南極の周囲から北上してきた海水」のように海水ごとに決まっている。

したがって、海底に埋もれた骨を調べれば、その当時の日本海の海水がどこからやってきていたかがわかる。

海底から下に400メートル、過去1000万年分の試料を小坂さんらが分析したところ、いまから450万年前、14万年のあいだにネオジムの種類が大きく変化していた。

太平洋からの海水の流入がきわめて少なくなり、大陸からアムール川が注いでいる北方の海水が、試料を採取した日本海中央部まで流れてきたと考えられる。

この時点で太平洋とのつながりが大幅に減って、日本海の中だけで海水が循環する現在の姿の原型ができたらしい。

日本海
日本海周辺の海流。NPDWは北太平洋の深層の水、LCDWは南極周辺から流れてきた水。450万年前になると、太平洋から流れ込むこれらの水は少なくなり、日本海の中だけで反時計回りに循環する海流ができたと考えらえる。U1425は、分析に使った試料を海底で採取した場所(小坂さんら研究グループ提供)

堀川さんによると、この当時は、太平洋の海底である「太平洋プレート」が東から西に動く活動が活発で、現在の東北地方にあたる場所でも、海底が隆起してさかんに陸地が作られていた。

太平洋と一体だった日本海の海水はこのとき、太平洋との行き来を断たれ、まだ出入り口が開いているオホーツク海から海水を受け入れることになった。

もっと冷たい海水が必要?

最近は、日本海の深層で酸素が減ってきている。

地球温暖化の影響で冬季に海面が冷えにくくなり、酸素を多く含む海水がじゅうぶん深くに下りてこなくなったことが原因といわれている。

日本海は「ミニオーシャン」だから、環境の変化に敏感だ。日本海で起きたことは、やがて太平洋でも起きる可能性がある。450万年前にせっかくミニオーシャンへと歩み始めてくれた日本海に、もうすこし関心を向けてよいのかもしれない。

サイエンスポータル」過去の関連記事:
•2017年9月11日ニュース「亜熱帯の海中は100年に1度の速さで温まっている」
•2007年5月16日ニュース「日本近海の水温100年で0.7~1.6℃上昇」


発行年月日: 2016/02/20
シリーズ通巻番号: B1957
定価:本体  860円(税別)
     ⇒本を購入する(Amazon)
     ⇒本を購入する(楽天)