世界第4位の移民大国・日本で注目されない「もう一つの法改正」

「ひとを管理する」という発想
下地 ローレンス吉孝 プロフィール

真摯な議論が不可欠である

今回の受入れの対象業種は14種であるといわれている。それは、介護、宿泊、農業、漁業、飲食料製造、外食、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船舶工業、自動車整備、航空である。

落ち着いて考えてみよう。

たとえば、新築マンションの自宅で朝目覚め、農家で採れた野菜や海でとれた魚を朝食に食べる。外に出かけてカフェで一服し、工場から配送されたコンビニ弁当を昼に食べ、介護施設に親の面倒を見に行く……こんなありふれた日常の生活のほとんどにかかわっている。この社会に生活する人で、この法律案に関係ないと言える人はいないはずだ。

 

誰にでも関係する大事なテーマとして、学校でも、職場でも、自治体コミュニティでも、農村でも、お茶の間でも。あらゆる人々の間で時間をかけて話し合われるべきテーマではないだろうか。

日本語の支援は追いついているだろうか? 共に暮らす準備や雇用環境は十分だろうか? 人権侵害の実態はいかに改善されるのだろうか?

これは5年後、10年後の話ではない。

今、政府が通そうとしているのは来年の話なのである。

すでに改正案は衆議院で可決され参議院へ進んでいる。与党は12月7日、すなわち本日中に参議院本会議での法案可決、成立を目指している。

OECD(経済協力開発機構)の国際移住データベースによれば、日本は移民の流入数で、ドイツ(約172万人)、米国(約118万人)、イギリス(約45万人)につぎ世界第4位(約42万人)である(2016年度の数値より)。

OECDの国際移住データベースより作成

上限の定まらないまま経済の理論のみで受入れを拡大すれば、将来的に世界第1位となる可能性も見えてくるかもしれない。

しかし、受入れの環境は不十分で問題含みなままである。管理・監視の強化ではなく、共に暮らす人々としてどのように受入れを進めていくのか。

真摯な議論が不可欠である。