「自称・良い夫」の恐怖…イクメン気取りは家事不参加より有害だ

円満な夫婦とそうでない夫婦の違い
トイアンナ プロフィール

円満な夫婦では夫が主体的に動いている

このように、円満な夫婦とそうでない夫婦を聞き比べると、以下の違いが見えてくる。

<円満な夫婦と、そうでない夫婦で異なる家事・育児への態度>
・ 病児保育やおむつ替えなど、重労働のパートを夫が率先して担う
・ 夫がキャリアや友人関係より育児を優先する場面がある
・ 夫がワンオペ育児をする気概がある

これらはすべて女性なら「当たり前」にやってきた……というよりも、強いられてきた。その負荷を同様に夫が担うことで、夫婦円満となっているようだ。

逆に円満ではない夫婦の話を聞くと、夫が妻の育児を「手伝っているつもり」になっていることが多い。

しかも、妻が不満を抱えている外では、夫が「自分は妻と違って休みも取れていないのに家事を頑張った」と話して褒められている。乳幼児を抱えた妻は、外に出る余裕などないため社会から切り離されている。そして必然的に、褒められる機会も限られる。

それが「あの人ばかり飲みにいって、そこで家事を手伝っているとひけらかしては褒められて……。私なんてそれどころじゃないのに」と不満をためる要素にもなっているようだ。

もともと育児不参加の意志を見せているだけならまだしも、イクメン気取りの家族愛にまつわる話をSNSへ投稿されたら、それを見た妻も怒り心頭に発するだろう。

こういった家事・育児分担への不満は禍根を残しやすい。何年か経ち、ワーク・ライフ・バランスが取れた夫が家事へ取り組もうとしても、「あのとき子どもを放っておいて好き勝手やっていたくせに」と妻側には怒りがくすぶってしまうのだ。

〔PHOTO〕iStock

夫も妻も育児1年生

とはいえ、本稿は単に「夫、もっと頑張れ」と精神論を伝えたいのではない。家事はもっとも褒められにくい労働のひとつだ。それを「やっても怒られる、やらないでも怒られる」のでは、夫側もやる気が失せるだろう。

夫側に求められるのはただ1つ。「妻も育児1年生、ましてやいかに子どもの面倒を見てほしいか指導できる立場にいるベテランではない」と理解することだ。

バツイチ・子持ちの女性と結婚したのでもない限り、妻もまた目の前の子どもに戸惑い、慌てふためく1年生。その妻へ「どう手伝えばいいか教えてよ」というのは、新入社員へ管理職をさせるのと同じである。

 

そして彼女は育児初心者として目の前の業務にパツパツとなっており、機嫌よくふるまう余裕すらない。妻へ指導してもらうくらいなら、先輩夫婦、育児書、そして母親や義母にご指導賜ったほうがいい。

妻もまた、「夫が勝手に育児への知見を深めて自分のよき同僚となるだろう」とは期待できない。特に男性向け育児書は少なく、出身家庭によっては「男たるもの家事をすべきではない」と教わってきた可能性すらある。

「将来ワンオペ育児が必要となって、たとえば私が1週間旅行したくらいじゃびくともしないパパを目指そう。私も同じレベルの母親になりたい。一緒にがんばろう」と、最初に父親のワンオペを想定したゴールを提案する。そのうえでどう学習すれば互いに子どもを片親へ預けられるほどのスキルを身に着けられるか相談してみよう。

「こんなにやってあげてるのに」「俺は頑張ってる」は、夫婦の亀裂の始まりだ。夫婦とも頑張っている。そして、どうやればうまくいくかなんて、わかっていない。お互いに育児1年生で、何なら夫婦としても新米なのだ。