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# 移民問題

外国人受け入れを「移民政策ではない」と言い張る政治家の重い責任

まだ本質から目を逸らすのか?

「強行採決だから問題」ではない

外国人労働者の受け入れ拡大を目指す出入国管理法改正案は衆議院を通過し、参議院に議論の場が移された。

衆議院法務委員会での質疑は15時間45分、本会議を合わせても17時間で、野党から「拙速だ」という批判が上がる中で強行採決された。いわゆる「重要法案」としては異例の短さだったが、政府・与党などは参議院でも同程度の審議時間で採決し、臨時国会中に可決成立させたい考えだ。

国会での審議時間が十分かどうかという議論に意味はない。2015年の国会で可決された安全保障関連法は衆議院で108時間58分、参議院で93時間13分質疑が行われたが、結局は与党などの「強行採決」で可決された。

 

与野党が対立する法案でも、与野党間で協議して法案を修正、可決することもあるが、各党派の主義主張に関わる法案になれば、どんなに質疑時間を割いても折り合うことはまずない。

「強行採決」も一種のパフォーマンスで、最後まで反対したという姿勢を見せることに本当の狙いがある。通常ではやらないプラカードを持ち込んで委員長席の周りを取り囲むのも、メディアに映されることを想定した演出と言っていい。

国会は、最後は多数決だから、採決されればどんなに少数派の野党が反対しても可決される。それが民主主義のルールだ。

実は、今回の法案は当初、与野党が歩み寄る可能性があるとみられていた。人手不足が深刻化する中で、外国人労働者の受け入れを拡大することが必要だ、という点では、多くの野党が一致していたからだ。国民民主党の玉木雄一郎代表もいったんは賛成に回るそぶりを見せていた。

それはなぜか。野党が批判するように法案が「スカスカ」というのは事実だ。

新しい資格である「特定技能1号」と「特定技能2号」を新設することや、法務省の入国管理局を格上げして「出入国在留管理庁」にすることが柱だが、新資格の具体的な運用方法などは法案質疑ではほとんど明らかにならなかった。準備不足と言われれば返す言葉がない、といったところだろう。

法律が施行された場合、労働市場がどう変わっていくのか、政府も実際のところ、やってみなければ分からない、というのが本音。そこを野党に国会で突かれたというわけだ。