カーリング代表が流行語大賞受賞! 今だから話せる平昌五輪取材秘話

”常呂のジローラモ”の功績!?
竹田 聡一郎 プロフィール

変化した韓国のファンと、混迷する韓国カーリング界

また、あれから10ヵ月が過ぎたが、変わったのは日本だけではない。良くも悪くも韓国でも変化があった。

韓国では熱狂的ロコ・ソラーレファンのグループができ、五輪と同開場で開催されたPACCの会場内には、彼らが掲げる横断幕が何枚も並んでいた。

「常呂から世界へ 世界のどこにあっても私たちの心はいつも一緒にするよ」などというたどたどしい日本語から、「#Keep Smile,Stay positive」など彼女らの過去の発言を拾ってのものや、「本橋麻里社長、無給社畜が常呂に働きたいとです」という九州男児っぽいクセの強いメッセージもあった。

選手だけでなく、コーチやトレーナーまで網羅しているコアなものや、なぜかMr.Childrenの曲の歌詞を載せたものも

同時にカーリング全体の認知度も韓国国内で上がってきたようだ。日韓対決となった女子決勝は週末ということで大勢の観客が入り、大いに盛り上がった。

特筆すべきは、そのオーディエンスのリアクションだ。五輪ゲームでは相手、つまり日本のミスにも大声援を上げていた。

全世界共通の「The Spirit of Curling」には、

「Curlers play to win, but never to humble their opponents」(カーラーは勝つためにプレイし、相手を負かすわけではない)

という、禅問答のような一文が明記されているが、相手への敬意がまず初めにあるこのスポーツでは、「相手のミスに拍手、歓声を送る」ことは侵してはいけない禁忌のひとつでもある。

それが、その10ヵ月で消えた。少なくともPACCの観客はどのチームであろうと、好プレーをした選手には拍手を惜しまなかった。これは韓国のカーリング界にとってかなり大きな進歩ではある。

ただ、その一方でPACC開催中、平昌で銀メダルを獲得した“メガネ先輩”ことキム・ウンジョンら5人のオリンピアンが、パワハラを受けたとして、韓国カーリング競技連盟のキム・ギョンドゥ前副会長と、彼の娘で五輪時に監督を務めていたキム・ミンジョンらを告発した。

五輪の予選最終日。チケットボックスには長蛇の列ができるなど、メガネ先輩の活躍で韓国内でカーリング人気に火がついた

そのメガネ先輩らを韓国選手権で破ってPACCに出場し、決勝でロコ・ソラーレからも勝利を挙げ、優勝を果たした韓国代表のスキップのキム・ミンジは一連の騒動について聞かれたが、「難しい状況でも試合に集中できました」と語るにとどめている。

チーム、キム・ミンジは『冬のソナタ』の舞台としても有名な春川市をホームにする1999年生まれの同級生チーム
新世代のキム・ミンジにも熱狂的なファンがつき、「デンマーク(女子世界選手権開催国)に一緒に行こう」というメッセージも

流行語年間大賞を受賞した日本。メガネ先輩らが受け取るはずだった激励金の行方が未だ不明で騒動が長引きそうな韓国。対照的な10ヵ月後だ。

引き続き、4年後の北京五輪まで、カーリング界の動向を定期的にレポートをしていきたい。