2018.12.18

会社を辞めたいあなたに教えたい「若手社員が組織を動かす方法」

ONE JAPANキーマンに聞いた
佐藤 友美 プロフィール

「それ、辞めなくてもできるよ」

有志団体を運営して仲間を作って一体どうなるのか。本業がおろそかになるのではないかと言う人もいるかもしれない。

「One Panasonicを立ち上げた当初は、『若手が集まってるだけで、何のアウトプットも出ていないじゃないか』とよく言われました。業務時間外でやっている活動なのに『そんな暇あったら業務に集中しろ』と上司に言われたり、『意識高い系』と同僚に揶揄されて悔しい思いをしたこともあります。でも一方で、参加するメンバーからは『仕事が楽しくなった』とか、『このつながりのおかげで、業務で成果を出すことができた』という声に支えられて、この活動を続けてきました」
と、濱松。

ONE JAPAN代表の濱松誠氏(撮影/Ryuta Hamamoto)

実際、『仕事はもっと楽しくできる』には、「ONE JAPAN」のメンバーが、この社内外のつながりを生かして新規事業を起こしたり、社外との協業事業を立ち上げたケースが多数紹介されている。

例えば野村総合研究所(以下野村総研)の瀬戸島敏宏は、同社が主催するハッカソンの運営メンバーだったが、「何か面白いことをしたい」と考える若く優秀な技術者ほど、即戦力として働けるベンチャー企業などに転職してしまう課題を感じていた。

この若手のエネルギーと技術をなんとか自社で発揮させることはできないものか。そう考えた瀬戸島が仲間と作った社内有志のチームが「Arumon(あるもん)」だった。

 

瀬戸島は、ハッカソンの企画が終わった後も、継続してアイデアを練り続け、ビジネス化を検討する場を作った。大学のサークルのノリで、業務が終わってから少しずつ人が集まる。誰に頼まれたわけでもないが、何か新しいことを考えてみようと思う若手たちが夜な夜な本気で意見をぶつけ合う場になった。

「Arumon」は「nomura」を逆から読んでつけた名前だ。会社の業務ではできない失敗や、思い切ったチャレンジをしていい場所と位置付け、自主的な活動を続けていた。

ところが、こうした「裏活動」に目をつけた役員がいた。「今後のビジネスには若いメンバーの自由な発想や高い技術力が必要」と考えた役員の後押しで「Arumon」は会社公認組織となる。予算もつき、現在は3人がフルコミットの専任メンバーになっている。それ以外のメンバーも業務の10パーセントまでは「Arumon」に 使ってよいことになり、活動拠点としての「部室」もできた。

「Arumon」の活動拠点となっている「部室」

この「Arumon」のメンバー、28歳の入江眞が、「ONE JAPAN」での出会いがきっかけで社外の企業と協業し、サブスクリプション型の新規プロジェクトをスタートさせることになった。20代の若手が新規プロジェクトを起こすことができると、社員に驚きと希望を与えた案件だ。

瀬戸島は、「今なら、他社の人にも学生にも『野村総研には、自ら動けば夢を実現できる環境がある』と胸を張って言える」と話す。「新しいビジネスに関わりたいから」と転職を考える若手にも、「その仕事、転職しなくても、うちの会社でできるよ」と言えるようになったという。

有志団体が社を改革した一例だ。

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