米中貿易戦争手打ちで安心するなかれ。日米は暴落危機に向かっている

波乱は2019年上期の予感
宿輪 純一 プロフィール

利上げは5月か

これも以前の拙稿で書いたが、政治的な影響を受けすぎている金融政策(日本銀行)の独立性は感じられず、政治的な事情が最優先されることになっている。

今後の大きい政治日程は、来年は、4月統一地方選、5月即位の礼、7月参議院選(衆参同時選挙の可能性もある)、10月消費税引上げ、となっている。特に政治的には、トランプ同様、選挙に影響が出ることを極めて嫌がる。

しかも、日程的な制約とするならば、米国の中央銀行FRBが利上げを継続しているときに、日本銀行も利き上げを行わなければならない。日銀単独の利き上げは、日本(経済)が最も嫌う「円高」をもたらすからである。時間は限られている。

このような制約条件の中で景気に対しプラスに働くのは即位の礼である。すなわち、即位の礼に近い、参議院選が終わった4月後半から、7月の参議院選挙に影響がでにくい、5月中と分析・予想できる。

 

ここまでは金融市場の「正常化」のプロセスであり、当たり前の動きである。問題は金融政策の裏側「買入資産」の問題である。

金利の引き上げの時には通常、対象となる国債の買い入れ額を減額する。今回は銀行の救済がメインの理由となるため、10年物国債(長期金利)を中心として、国債の買い入れ額を減額してくるはずである。

現在、日本銀行は非常事態ということで、中央銀行の基本的政策としても行うべきか疑問の「質的・量的金融緩和」も実施しており、年6兆円のペースで株式(ETF)を購入している。“クジラ”と呼ばれるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と共に、日本の株式市場を買い支えている。

ここで問題となるのは、国債の買い入れ額を減らした場合には、「株式の買入れ額」も同じバランスで減らす可能性が高いということである。ということは、株式市場にとってみると主力の買い手が手を引いてくるわけで、下落の可能性が高い。金額が大きい場合には下落幅が大きくなる。

そもそも中央銀行が株式を購入するというのは、他の先進国の中央銀行にはあり得ないことで、株式購入を減額をするということは出口戦略であり、そもそも“正常化”ともいえる。現在の株式市場の状況は、当局が金融市場に介入して、歪めているということでもある。

今年の8月には株式購入減額の準備としてか、少額だけであるが購入金額を減らしたことがあった。「ステルス・テーパリング(ひそかな縮小)」と注目され、株式市場が微妙な動きをした。少額の買入減額でも株式市場に与える影響は大きいのである。

つまり、日本の場合は、日本銀行の“正常化”の過程で株式購入を減らすことによる、株価下落の可能性が高くなって来るので注意が必要なのである。

しかも、再認識しなければならないことは、現在の日本銀行の行動は、歴史的に見ても、世界的にみて、も異例のことで、早期に正常化することが必要だということである。

さらに、筆者が最も恐れるのは、この様な状況で日本の株式市場が“リスク”を認識しなくなることが最も懸念すべき事項である。

日本銀行は、現在はTOPIX(平均)をベースとしたETFを購入している。つまり、市場の平均であり、個社の経営は評価されない傾向になる、ということである。これが、海外投資家が日本株を敬遠する理由の1つになっており、これはコーポレート・ガバナンスの問題である。

日本銀行の行動が、日本の株式市場の劣化を進めているということもできないでもない。そのことが、当然、日本銀行の「政策是正局面」で、個別銘柄の内容に関係ない、軒並みの株価下落を招く恐れがあるのである。