米中貿易戦争手打ちで安心するなかれ。日米は暴落危機に向かっている

波乱は2019年上期の予感
宿輪 純一 プロフィール

クリスマス後、危険水域に

以前に拙稿でも解説したが、トランプ大統領の支持基盤は米国の製造業の票で、いままでは民主党を支持してきた層である。

しかし、このドル高もそうであるが、関税の引き上げによって、グローバルな調達を行っている製造業の経営を悪化させることにもなっている。象徴的なのはゼネラル・モーターズ(GM)が米国の3工場を閉鎖することを決定したことである。

経済学的には関税の引き上げは短期的な政策であるが、グローバルな経済では副作用がすぐ発生した。今回の中国との合意に基づく関税の引き下げも、このような製造業の経営環境が背景にある。

 

今後は、レーガン政権下と同様に、ドル高の是正が当然、政策目標となって来る。

このような経済環境下、トランプ政権は中間所得層の家計を対象に大型減税第2弾を行おうとしている。このような財政赤字の急激な拡大に基づく、米国債の大量発行と、ドル高の是正(ドル安誘導)は、米国売りであり、米国債も売られ、値崩れの可能性が大きくなるのである。

そして米国長期金利の高騰は、当然、米国株価にも悪影響を与える。つまりは、ブラックマンデー、アジア通貨危機、リーマンショック、と続いた10年毎の金融危機の亡霊が、米国の社会的最大行事クリスマスを超えて新年となった頃から、警戒水域に入ってくるので注意が必要である。

日本は株価急落

日本では米国とは違うプロセスで経済危機が発生する可能性が高いと考えている。米国債に比べて日本国債、とくに長期国債は値崩れの可能性が低い。長期国債は大部分が日本国内の、しかも急激な動きをしない金融機関と日本銀行を中心に保有されている。

筆者が懸念しているのは「株式(株価)」の方である。

日本の金融政策を司っている中央銀行=日本銀行が現在、金融政策において最重要視しているのは、金利の引き上げである。いわゆる「出口戦略」である。

以前、拙稿でも書いたが、中央銀行の本当の仕事は「金利を引き上げること」である。このことはプロでも勘違いしている方が多い。景気にも人の体調と同様に、良いときと悪いときがある。その景気の悪いときのために金利の引き下げ余地を作ることが最も重要な仕事なのである。

 

現在、日銀の金融政策が安倍政権の経済政策「アベノミクス」の中核政策になっているため、政治的な圧力もあり、世界の先進国の中央銀行の中で協調できず、引き上げが出来ていない。ちなみにブラックマンデー以降、先進国の中央銀行は金融政策を協調するのが原則となっている。

先進国である日本の経済も成熟し、物価が上がらず、目標の2%に達する見込みも見えない。そのため日本銀行は戦略を転換した。

低金利政策のために、地方銀行を始めとした金融機関の経営が悪化し、106ある地方銀行の過半が本業赤字となっている。金融機関は自身でコスト削減や統合など経営改革を進めているものの限界に達しつつある。この低金利政策の「副作用」の改善のために特に長期金利の引き上げをする、というシナリオで国民の理解を得て対応しようとしている。