知らないと後悔!親を介護施設に託す人が必ず直面する「2つの壁」

問題はお金でもサービス内容でもない
親の介護が始まると、多くの人は「自宅」と「施設」のいずれで介護をするか(してもらうか)という選択を迫られます。「いずれは施設で」と考えている人も多いことでしょう。介護施設には、その規模から行われているサービスの内容まで、さまざまなタイプがありますが、どこに親を託すとしても、直面する難題が少なくとも2つあることをご存じでしょうか。

(記事中の写真は、いずれもイメージです)

知っておきたい「介護施設の分類」

介護保険制度をテーマとする本がたくさん出版されるようになった。インターネット上にも情報があふれている。介護はそれだけニーズが高く、同時にわかりにくい仕組みになっている、ということのあらわれだろう。

そして介護保険制度を使ううえで、とくに多くの人が悩むのが、「どんな介護施設を選べばいいか?」である。この質問にささやかなヒントを提供するのが本稿の目的だが、本題に入る前に、まずは介護施設の分類と概要だけ簡単に振り返っておこう。

介護保険制度上で、「施設サービス」と呼ばれるのは、実は次の3種類だけだ(括弧内はよく使われる略称)。

  • 介護老人福祉施設(特養)
    常に介護が必要で、在宅生活が困難な65歳以上の高齢者(原則として要介護3以上)が対象。入浴や排泄、食事などの日常生活の世話をはじめ、機能訓練や健康管理、療養上の世話が受けられる。特別養護老人ホーム」と呼ばれることが多いためこの略称となる。
  • 介護老人保健施設(老健)
    病状は安定しているが、まだ専門的な機能回復訓練(リハビリ)を必要とする要介護1以上の高齢者が対象。家庭への復帰を目指して、リハビリを中心に日常的な看護・介護サービスが提供される。
  • 介護療養型医療施設(介護療養病床)
    長期療養を必要とする要介護1以上の高齢者が対象。医学的管理のもとで介護や医療が受けられる。おもに医療法人が運営している。2018年度に実施された介護保険制度の改正により、今後は「介護医療院」へと転換されていく見込み。

次に挙げるのは、制度上は施設サービスに分類されないが、高齢者に住まいを提供しているおもなサービスである。

  • 有料老人ホーム(有料ホーム)
    一般に60歳以上が対象。介護サービス付きの「介護付」、生活支援サービス付きの「住宅型」、食事などのサービスが付く「健康型」に分けられる。介護が必要になれば、住宅型では外部サービスを利用し、健康型は退去となる。
  • サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
    60歳以上の高齢者と、要介護・要支援の認定を受けた60歳未満の人を対象とする賃貸住宅。サービスとして事業者に提供が義務づけられているのは「安否確認」と「生活相談」のみで、身体介助や生活援助などは外部サービスを利用するのが一般的である。
  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
    認知症で自宅での生活が困難になった要支援2以上の高齢者が対象。「ユニット」と呼ばれる5〜9人程度のまとまりで、家庭に近い環境のもと介護職員のサポートを受けながら共同生活をする。

ほかにもケアハウス(軽費老人ホーム)などがあるが、冗長になるのでここまでにしておきたい。

補足すると、デイサービス(日中、要支援者や要介護者を預けられる所)やデイケア(通いでリハビリを受けられる所)など、利用者が出向いて受ける介護サービス(通所サービス)もある。しかしそういった事業所は、介護関係者の間では「施設」とは呼ばれない。

ただ、一般人の目からみると、外見上はどれも似たような建物(=施設)のうえ、1つの建物内で施設サービスと通所サービス両方を行っている所もあるので、ややこしくなるのだろう。

ここに家族が直面しがちな「第1の壁」がある。すなわち「施設選び」だ。複雑で種類も多いため、選びにくいのである。だが、それだけでは終わらないから、介護は大変だ。

【写真】多様な施設
  介護施設選びが「第1の壁」となる photo by gettyimages