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親を「サ高住」に入居させた子が「安心」してはいけない5つの理由

「リーズナブルな介護施設」という誤解
太田 差惠子 プロフィール

「リーズナブルな介護施設」という誤解

国の先導のもと、サ高住は急速に増えており、全国に24万戸近い数となっています。

そのせいでしょうか。ここ1、2年で親の介護の話をする子らの間で、「サ高住」という言葉が頻繁に語られるようになりました。

どうやら、多くの子は、その実態を知らないまま「一時金不要のリーズナブルな介護施設」と捉えているようで不安になります。

タカシさんにしても、母親を「介護施設」に入居させたつもりだったので、退去勧告は寝耳に水の話だったのです。
 
なぜ、サ高住を「リーズナブルな介護施設」と捉える向きに、私は不安になるのか……。

確かに、サ高住に入居する際に高額な一時金の支払いは必要ありません(敷金は必要)。しかし、サ高住には5つの「ない、ない」事情があるのです。

1、 職員が介護するわけではない
2、 認知症に対応するわけではない
3、 介護食や介護用風呂の用意があるわけではない
4、 医師や看護師が常駐しているわけではない
5、 看取りまで行うわけではない
 

「サ高住の93%=介護施設ではない」という現実

私はタカシさんに、母親の入居したサ高住は、「特定施設」の指定を取っているかどうか質問しました。

タカシさんは、「特定施設」という言葉を初めて聞いたらしく、戸惑った表情をしています。「特定施設」とは、「特定施設入居者生活介護」の略で、都道府県が指定する施設で、簡単に言えば「介護型」のことです。

指定を受けているサ高住なら、施設職員の配置基準が定められており、24時間体制で、要介護度ごとに定められた定額制で介護を受けることができます(サ高住だけでなく、有料老人ホームにも、指定を受けているところと受けていないところがあります)。

しかし「特定施設」の指定を受けているサ高住は、全体の約7%のみ。言い換えれば、93%のサ高住は「住宅型」であり、職員の配置基準もなく職員から介護を受けることはできないということです。夜間は職員不在のところさえあります。

もちろん「サービス付き」というくらいですから、何も付いていないわけではありません。「住宅型」であっても、必ず、「1日1回の安否確認」がなされ、ちょっとした「生活相談」には対応します。

しかし、その他のサービスは、サ高住ごとに違います。食事の提供を行うところは多いですが、キザミ食などの介護対応も色々で、重度の要介護者を入浴させる設備も用意されていないことが一般的です。看護師の常駐も期待できないでしょう。