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親を「サ高住」に入居させた子が「安心」してはいけない5つの理由

「リーズナブルな介護施設」という誤解

私は90年代から介護の現場を取材し、そのリアルな現実や有益な情報を執筆や講演、NPO活動を通して紹介しています。

最近会った埼玉県在住のタカシさん(53歳:仮名)は母親を「サ高住」に入居させたことについて悩んでいるとのことで、眉間にしわを寄せ、うつむき加減に話し始めました。

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母親(81歳)は、長年連れ添った夫(タカシさんの父親)が亡くなってから広島の実家で1人暮らしをしていました。夫を亡くした喪失感からか、ウツ気味で、閉じこもりがちだったそうです。タカシさんが電話を掛けると、泣き出すこともありました。

タカシさんはそんな母親を1人にさせておくことが心配になり、10ヵ月程前、タカシさんの自宅からほど近いサービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)に越してきてもらいました

オープンして1年ほどのきれいなところで、18㎡と狭いものの、タカシさんの自宅からは車で30分以内の距離です。何かあればすぐに駆け付けることができるので、安心したところでした。

 

母を「サ高住」に入居させて安心したのも束の間…

ところが……。

環境の激変が影響したのか、引っ越してきた母親は、広島に居たときとは逆に、フラフラと歩きまわるようになりました。サ高住からタカシさんに電話が掛かってきて、タカシさんが駆けつけることもありました。病院に連れていくと「認知症」を発症していると診断され、介護保険の認定も取りました。

その後も、母親の不審な行動はエスカレートする一方で、他の入居者の部屋のドアを開けようとし、周囲からクレームが出ることも。そして、入居9ヵ月目で、とうとうサ高住から「こちらでは対応できないので、よそを探してください」と退去勧告されたのです。

「『出て行け』って、耳を疑いました。母の終の棲家として、このサ高住を選んだつもりだったのに……」とタカシさんは舌打ちします。