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# マネジメント

優れたリーダーたちは必ずやっている、ある基本的な「心の習慣」

バーのママの即席リーダー塾
上司の最大の悩みは部下、部下の最大の悩みは上司。
多くのビジネスパーソンが持つリーダーシップの悩みを物語を通して解決する注目書『本物のリーダーは引っ張らない』(講談社)からそのエッセンスを何回かに分けてお届けする。
登場人物は4人。
佐藤浩二:昔ながらの体育会系リーダーシップを実践するも、最近なかなか部下とうまくいかないことに悩んでいるアラフィフ。
高野賢介:優秀な若手として、期待されてリーダーを任されたものの、なかなかうまくいかなくて悩んでいる。
牧村美香:賢介の学生時代からの友人で、最近上司からリーダーにならないかと打診されて、「私なんて向いていない」と悩んでいる。
ママ:リーダーシップで悩める3人が出会ったワインバーの経営者。彼女はじつは7軒の店を経営・成功させている凄腕。即席リーダー塾の講師役。
第2回目は、リーダーに日頃から実践してほしい習慣。(第1回目『まだ、リーダーシップを「引っ張ること」だと勘違いしていませんか?』はこちら
 

リーダーは「自分が主役」ではない

ママ:私だって、最初、店を始めたときは、どうしたらいいか、わけがわからなかったわ。店を作ったのは私だし、私がリーダーなんだから、私が主役って思ってやっていたと思うの。でも、その頃は、従業員の人も長く居ついてくれないし、店もあまり流行らないし。たくさん借金もあるから、本当に首をくくろうかと思ったときもあるのよ。

美香:ママにそんなときがあったんですか。

ママ:そうよ。私だって、大いなる『しくじりリーダー』経験者よ。でもね、悩んでいたときに、いいきっかけがあったの。

お客さんの中に、お芝居の演出家をされている人がいらっしゃったの。その人が、自分にとって大切なことは、お芝居が褒められることだとおっしゃっていたの。面白かったよ、泣いちゃったよって、お芝居が褒められることが一番大切で、決して自分が褒められることではない。自分の名前なんて知られなくたっていい。それよりも、芝居が褒められ、芝居に出ていた役者たちが褒められるのを見ているのが一番嬉しいとおっしゃってたわ。

そのとき、私気づいたの。『あっ、私がやるのは、お芝居の主役ではなくて、演出家のほうなんだって』。私が中心だとか、私が褒められるとか、そんなことはどうでもいい。店が褒められて、お客さんに気分良くなって頂いて、また来て頂いて、それが一番大事にしなくてはいけない成果なんだって。

そのためには、私ではなく、ここにいるスタッフみんながそれぞれ主役になってもらって、お客さんから褒めてもらえるようにするのが、私の仕事なんだって。そう考えられるようになってからなの、急にお店に活気が出始めて、スタッフも辞めなくなって、お客さんがたくさん来ていただけるようになったのは。だから、何を言われようが、私は信じているの「みんなが主役」。それがリーダーの役割だって。

賢介:素敵です。でも、ホント怖いですね。

美香:何が怖いの、賢介?

賢介:いや。つまり、人は、自分がどんな考え方に立っているかによってそれが無意識のうちに、自然と日常の言動に出てしまうものだってことだよ。そして、周りの人はそれをしっかりと感じ取ることができるってことでしょ。だから、知らぬはリーダーばかりなり、ってことが普通に起きてしまう。

自分に指を向ける

賢介:でも、どうしたらいいんですか? この先も、自分だけが気づかないまま、じつは部下からまったく尊敬されていない上司だったなんてことになりたくないし。

ママ:そうね。基本は、「自分に指を向ける」 という習慣を身につけることが大切かしら。

高野:「自分に指を向ける」ですか。

そう言って、高野は実際に指を自分に向けてみた。