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大塚英樹がスターフライヤー社長に迫る!「感動をビジネスにする」

松石禎己スターフライヤー社長の哲学
大塚英樹

不採算路線を整理 利益体質へと転換

 経営者の責任とは、何よりもまず、自分たちの企業の未来を信じ、社員1人ひとりに会社のビジョンや自分の想いを伝え、全員がそれを共有できるようにすることであると考える。  

 

では、経営者が自分の理念やビジョンを社内に徹底するための条件は何か。

1つは自分の言葉で何度も愚直に、繰り返し語り続けること。

もう1つは言行を一致させること。

この2つを実行して初めて経営者の本気が社員に伝わり、社員の心が動く。  

その点、松石禎己はどうか。

社長就任以来、自分の言葉で理念や方向性を語るだけでなく、自分で示した理念ビジョンと実際の会社運営一致させてきた。決して形骸化させず、語った通りの会社運営を実行している。  

松石経営の特筆すべき点は、まさにこの「言行一致」の断固たる実行にある。

松石は、「持続的に成長する企業」「お客様のためだけを考えろ」「安全運航は絶対的なもの」「人材育成の必要性」などのビジョン、方向性を打ち出し、想いを訴え、その宣言通り実行している。  

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例えば、持続的成長の実現──。  

松石は「拡大主義」から「収益重視主義」へ転換し、不採算路線をなくしていくことを決意した。以前は、路線を増やし、売り上げを上げれば、その結果利益が後からついてくるという考え方が強かった。

そこを、まず利益から入ることにした。利益を出すために、強い事業(=路線)を作ろう。強い事業にするために、強いサービスを作ろう。

そのためにはハード、ソフトの両面でイノベーションを行い、〝オンリーワン〟になろう、というように、逆の発想を植え付けたのだ。  

だから、不採算路線については、売り上げを減らしてでも利益体質にすべきとの強い意志を持って、北九州―釜山線、福岡―関西線からの撤退を実行し、不採算路線を整理した。

その一方で、福岡―中部線、山口宇部―羽田線を新規に就航させる。つまり、弱いところを切り強みのあるところに集中して力を注ぐことにした。

その結果、同社の営業利益は、2014年度の約2億円から、2016年度には約31億円と増益になり、利益体質の企業に変貌しつつある。

「当社は、拡大主義から保有航空機を増やし、『航空機があるから飛ばさなきゃいけない』と考え、路線や便数をむやみに増やしてしまった。しかし、採算が取れる路線や便でなければ飛ばせば飛ばすほど赤字になる。航空機は、航空機があるから飛ばすのではなく、お客様がいるから飛ばすのです」