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大塚英樹がスターフライヤー社長に迫る!「感動をビジネスにする」

松石禎己スターフライヤー社長の哲学
大塚英樹

無料「靴磨き」、無償「初日の出フライト」の挑戦

特筆すべき例としては、社員による無料「靴磨き」、無償「初日の出フライト」がある。

業界初のイベントに挑戦させ、目標を達成することで感動を覚えさせるという試みだ。  

 

無料靴磨きは、松石自身が発案したものである。

東京へ出かけたときはいつも、羽田空港で靴を磨いてもらうが、スターフライヤーの便が到着する早朝は、店がまだ開いていない

「北九州のお客様がこれから東京で仕事をしようというときに、従業員が靴磨きをして差し上げて、きれいな靴で仕事に向かってもらおうと思ったのです」と松石は言う。  

松石は、その思いを営業本部長に伝えた。

直ちにプロジェクトが結成され、メンバーたちは靴クリームメーカーのコロンブス本社を訪れ、靴磨きの方法を教えてほしいと交渉した。

コロンブスは快諾。

2015年4月、早朝の北九州空港の搭乗ゲート付近で、松石を筆頭に、黒いエプロンを身に着けた従業員たちがビジネス客の革靴を磨いた。

参加した従業員はCA、整備士、地上係員、営業担当など60名。  

お客の喜ぶ表情を見て、従業員は感動した。特に、ふだんお客と接する機会のない整備士や、管理部門の従業員たちはお客と触れ合う貴重な機会となった。  

もう1つ、松石が業界の常識を覆して実施しているのが、無償「初日の出フライト」

企業から協賛を募って実現させたもので、2018年で4回目となる。  

発想の原点は、「他社と同じ企画ではお客様に感動を与えられない」だ。そこで松石は2014年、「無償招待」、「プロジェクトメンバーは社内応募」の条件を付け、社員に業界初の「初日の出フライト」に挑戦させた。

基本コンセプトは「ありがとうをカタチに」と決めた。問題はコンセプトをどう具現化するかだった。

最終的に、お客に「誰にどんな感謝を伝えたいか」を応募してもらった。  当日、朝6時過ぎ──。

機内では、まずお客に対して感謝が伝えられ、さらにお客が誰かに伝えたい「ありがとう」がスライドショーで伝えられた。妻から夫へ、夫から妻へ、子どもから母へ……さまざまな「ありがとう」が機内に感謝愛情を満たしていった。

後日、多くのお客から「感動しました」と感謝の言葉が届けられた。  

全社員が感動の渦に巻き込まれたのは言うまでもない。