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相続大改正でめちゃ儲かる人、大損する人の「分かれ目」はここだ!

プロがこっそりやっている裏ワザ
一見、便利になった制度にも、落とし穴がある。複雑になっている制度のなかには、裏ワザも潜んでいる。何をしたらいいか、何をやってはいけないか、プロとともに「正解」を一気にお教えしよう。
 

ヒント1「配偶者居住権」の落とし穴を回避する方法

約40年ぶりの相続大改正の施行開始までもうわずか。新制度のもとで、虎の子の老後マネーを、どう防衛し、どう殖やすべきか?

相続特集を続けてきた本誌のもとにも、「さらに簡単に得する方法を知りたい」「小難しい話が多いので、答えだけを教えてほしい」といった声が連日寄せられている。

そこで今回はこれだけ知っておけば絶対に得するポイントについて、専門家とともに正解を提示していこう。

まずなにより、今回の相続改正のポイントは配偶者の優遇だ。とりわけ、夫の死後の妻の暮らしに焦点を当てた点に注目が集まった。その目玉こそ、「配偶者居住権」の新設である。

これまでは、以下のようなケースが多々あった。

妻と子ども1人を残して亡くなったAさんの遺産は5000万円相当の自宅と現金5000万円の計1億円だ。

5000万円の自宅を妻が相続すれば、現金の5000万円は子どもが相続することになる。妻には住む家が残るが、現金はゼロ。泣く泣く自宅を売却することになる――。

これを解消するのが、配偶者居住権だ。妻が自宅に居住権を設定し、子どものほうは所有権を設定する。

これにより、さきほどのケースでは、妻は自宅の2500万円の居住権を、子は2500万円の所有権をそれぞれ相続する。妻は自宅に住み続けることができるうえ、現金2500万円も相続できることになる。

高齢であるほど、居住権の価値が低くなり、相続できる現金が増える妻にとっては得な制度だという専門家は多いが、じつは盲点がある。家には固定資産税が課せられるが、「居住権」を持つ妻と、「所有権」を持つ子ではどちらが負担することになるのだろうか。

「子どもが支払うことになる可能性は高い」というのは夢相続代表の曽根恵子氏である。

「地方税法では、『1月1日に所有権を持つ人』に固定資産税が請求されます。今後、運用の変更が行われる可能性もありますが、現状では所有権を持つ子に請求が行く」

母が住む家の維持費を、子が持たねばならないというわけだ。とりわけ厄介なのは、再婚のケースだ。先妻の子どもと後妻の間では、折り合いが悪いことが多い。

先妻の子が、血縁関係のない後妻に「固定資産税を負担したくないから、それは自分で払ってくれ」と言い出してもおかしくない。

「しかし、固定資産税の支払いを求められた母親が拒否したからといって、子は母親を家から追い出すことは難しい。結局は子どもが払うことになり、ますます揉めるでしょう。

居住権を設定するなら、事前に母と子で一定の合意を得ておいたほうがいいでしょう」(吉澤相続事務所・吉澤諭氏)

配偶者居住権の落とし穴である。妻子の関係が悪いならば、居住権にこだわらず、生前贈与も考慮に入れたいというのは、前出の曽根氏だ。

「結婚20年以上の配偶者に自宅を生前贈与すれば、遺産分割対象外となり、自宅と現金を残すことができます。妻への生前贈与は2000万円まで贈与税が非課税です」

妻の生活のために、最適な方法を選びたい。