G20「各国の力関係の変化」と共同宣言の本当の読み方を教えよう

この変化に気付けるか…それが重要だ

アルゼンチンで開催されていたG20が終わった。「保護主義と闘う」との言葉が、アメリカの反対で無いものとされた、といったことが中心に報道されているが、米中首脳会談で互いの追加関税が猶予され、一時的な休戦になったことにもっと注目すべきだろう。

G20を経て、世界情勢はどうなるのか。その中では日本は立ち位置をどこに定めるべきなのか。また、G20首脳会合に合わせて行われる、日米、日中、日ロなどの首脳会談は、どのような成果があったのか。今回はそれを見ていきたい。

 

立ち位置に関する、シンプルなルール

まず、G20などの国際的な首脳会議での一つの楽しみ方は、「集合写真での各国首脳の立ち位置」である。

今回のG20、前列の中心にいるのはアルゼンチンのマクリ大統領だ。向かって左に、マクリ大統領から、安倍首相、トランプ米大統領、マクロン仏大統領などが並び、向かって右に、習近平中国主席、プーチン・ロシア大統領らが並んだ。

中心が議長国であるアルゼンチンのマクリ大統領なのは当然だが、その隣にいるのが安倍首相だ。

【PHOTO】gettyimages

実は、国際会議の立ち位置については各国首脳が競い合うのではなく、次のようなシンプルなルールがある。

①議長国の首脳が中央、
②首相よりも大統領が内側、
③在任期間の長い首脳が内側

というものだ。

もちろん立ち位置は議長国がその都度決めてよいのだが、大体この原則になっている。このルールにより、各国首脳の位置は事前に決められているのが通例だ(もっとも、アルゼンチンはお国柄なのか、マクロン大統領の到着時に、その出迎えに遅れた国なので、どこまでこうした通例が意識されたのかはわからないが)。

さて、G20では、次期議長国の首脳が開催国首脳の隣に来るのが慣例なのだが、それを割り引いたとしても、安倍首相の立ち位置は目立っていた。写真にはメルケル独首相が写っていない。これは専用機のトラブルで、G20の開催に間に合わなかったためだ。それによって、安倍首相は写真に写る中で、先進国の首脳として最も在任期間の長い首脳になった。

議長国の右側を見ても興味深い。議長国の隣に習主席、シェンロン・シンガポール首相、プーチン大統領と並んでいる。シェンロン首相の位置は通例で考えればちょっとありえないのだが、同氏は英語のほか中国語もロシア語もできるらしいので、それで中ロの間に呼ばれたのかもしれない。

そのほかにも、集合写真を見ると面白いことがわかる。G20 には、サウジアラビアからサルマン皇太子が参加した。同氏はジャーナリストのカショギ氏暗殺を指示した人物だ、と国際社会から断定されている。

その根拠となった情報はトルコから提供された。トルコは、オスマン帝国時代からサウジアラビアとは長年の因縁の関係があるので、カショギ氏の事件はトルコとサウジアラビアの間で非常に敏感なテーマとなっている。

それを頭に入れて写真を見ると、トルコのエルドアン大統領は向かって前列の左端、サルマン皇太子は後列の右端に位置している。これは両国の関係から、無難にことが進むように、事前にそう決めたのだろう。そういったことも写真からは読み取れるので、眺めているだけでも結構面白いのだ。