霜降り明星優勝に思う「6年前の光景」そしてやっぱり和牛はすごかった

2018年M-1グランプリ総括
現代ビジネス編集部 プロフィール

粗品の涙で思い出した、6年前のあの光景

さて、その和牛を破って見事に優勝した霜降り明星。決勝で披露したネタはいずれも素晴らしい出来でした。

若いコンビが優勝したことは「大会に新しい風を吹き込む」という点でもよいことでしょうし、二人ともR-1ぐらんぷりにピン芸人として出場した経験があるほどの力のある芸人ですから、今後のブレイクはまちがいないでしょう。

ところで私は霜降り明星が優勝する姿をみて、6年前の「ある光景」を思い出し、つい涙ぐんでしまいました。

大阪で毎年暮れに放送される、「オールザッツ漫才」(毎日放送)という番組をご存じでしょうか。1990年に放送開始され、年の瀬の深夜に、若手の漫才やネタを5時間延々と流すお笑いファン垂涎の番組です。「ここでウケた芸人は、必ずブレイクする」といわれるほどで、過去にはシャンプーハット、陣内智則さん、ケンドーコバヤシさん、とろサーモンらがこの番組内で爆笑をかっさらい、その後、スター街道を歩んでいきました。

この「オールザッツ漫才」では例年、若手芸人がネタを競い合うトーナメントバトルが行われるのですが、このトーナメントの2012年の優勝者が、霜降り明星のツッコミの粗品さんだったのです。

当時の粗品さんはまだコンビを組んでおらず、ピン芸人として出場していたのですが、過去に類を見ないニュータイプの「フリップ芸」を披露したあの時の衝撃は、いまでもしっかりと覚えています。

 

そして、最も印象的だったのが、優勝した直後に放った一言でした。

番組MCの小藪千豊さんと笑い飯さんに「優勝したから、これから売れるで。ピン芸人としてやっていくの?」と聞かれた粗品さん。なんのためらいもなく、

「僕は、スーツを着て、漫才がしたいんです」

と力強く返したのです(ちなみに、この時の彼の衣装はパジャマでした)。

この言葉を聞いて以来、私は粗品さんがいつか抜群に面白い相方を見つけて、M-1に臨む日が来るんだろうな、と夢想しながら、その日を楽しみにしていました。

その後、せいやさんと霜降り明星を組んでからの快進撃は、私が語るところではありません(二人がコンビを組むまでにも、芸人ならではのドラマがあります。それはまた、どこかで別の詳しい方が書かれることに期待したいです)。

それから6年後。いつか漫才をやりたいと言っていた青年が、スーツ姿で決戦の場に現れ、全国を爆笑の渦に包み、見事に優勝した――それが、2018年12月2日のM-1グランプリだったのです。あのパジャマ姿の彼が、M-1で優勝する日が来るとは……と感動せずにはいられませんでした。