賃貸マンションは「大家を儲けさせる」ために存在している

チープな借家住まいで満足できますか?
沖 有人 プロフィール

分譲はこんなに暮らしやすい

共用部分の充実度の違いも、分譲と賃貸を分けるポイントの一つ。

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マンションの物件価格は基本的に面積割だが、共用部分の使用権は各戸一律であるから、面積の小さい部屋に住む単身者にとって豪華な共用施設の存在はお得感がある。

宅配ロッカーは近年の定番で、分譲マンションではもはや不可欠の施設といえる。

タワーマンションなどの大型マンションになると、ゲストルーム、パーティールーム、トランクルームなども用意されている。これらの共用施設はパーティールームで友達を呼んでホームパーティーを開いたり、実家の両親を呼んだときにゲストルームに泊まってもらったりと、単身者であっても使い道は多い。

駐車場も一定台数分が確保され、周辺の相場より割安に借りられる。最近では車を持たなくてもいいよう、カーシェアが用意されている場合もある。

その他にも住民が無料で利用できるジムやゴルフレンジが備わっていたり、タワーマンションでは展望台が用意されることもある。タワーマンションではゴミ出し口も各階に設置されており、そこから自治体のゴミ集積場所まで管理人が運んでくれる。

プール付き、温泉付きを売り物にしている物件もある(ただ私個人としては、こうした水を使う付帯施設は維持費が高くつくため、あまりお勧めはしないが)。

各戸のバルコニーは建前上、共用施設に含まれるが、実際は各戸別になっていて、使い方もさまざまだ。デッキを置いて野菜や植物を育てて楽しむ人も多い。

女性の単身者の場合、「分譲マンションにして何がよかったか」と尋ねると、「安心感が違う」とセキュリティ面の充実を挙げる人が多い。

 

オートロックはもちろん、大型高級マンションの場合は建物入口に受付があってコンシェルジュが常駐していたり、ドアマンがいたり、駐車場に常駐の管理人がいるケースもある。

コンシェルジュや管理人が常駐していることはセキュリティを大きく向上させる。もし自宅のあるフロアに不審な人間がいれば、深夜であってもすぐに連絡して住民かどうかチェックしてもらえる。

同じような環境を賃貸住宅で実現しようとすれば、賃料の坪単価は1万5000円を超えてしまうだろう。20坪(66㎡)で月30万円といった、目が回るほど高額な家賃を取られることを覚悟しなくてはならない。

よく芸能人が驚くほど高額家賃の賃貸マンションに住んでいるとテレビで報じられることがあるが、それには理由がある。芸能人は不安定な職業とみなされていて、銀行では住宅ローンが組みにくいのだ。

だから儲かるようになってもすぐには持ち家を購入できず、損を承知でセキュリティの充実した高級賃貸マンションに住まざるを得ないのである。

この点、テレビ局の社員アナウンサーは銀行の扱いがまったく違う。会社員は定期収入があるので、住宅ローンが組みやすい。彼らの多くは高級賃貸を借りて家賃を垂れ流すようなことはせず、きちんと住宅ローンを組んで持ち家を購入している例が多い。

まじめな会社員が自分にとって理想的な環境をリーズナブルなコストで手に入れるには、やはり持ち家が一番といえる。