# 働き方 # 韓国経済

日本人は知らない…韓国がいま「働き方改革」でトラブル続出中のワケ

「夕方のある暮らし」のせいで収入激減
金 明中 プロフィール

「働く時間」はこんなに変わった!

韓国ではこれまでも勤労基準法の規定による残業時間を含む1週間の最大労働時間は、52時間であった。

しかし、「法定労働時間」を超える労働、つまり「延長勤務」に「休日勤務」は含まれないと雇用労働部(日本の旧労働省に当たる)が解釈したため、労働者は1週間の法定労働時間40時間に労使協議による1週間の最大延長勤務12時間、そして休日勤務16時間を合わせた合計68時間まで働くことが許容されていた。

 

今回の改正により休日勤務は延長勤務に含まれ、1週間の最大労働時間は52時間に短縮されることになった。休日勤務手当は変更されず、8時間以下分に対しては50%の加算が、8時間超過分に対しては100%の加算が適用される。

また、法定労働時間の例外適用が認められていた「特別業種」は、全面廃止を主張する労働界の要求が一部反映され、26業種から5業種に縮小された。一方、18歳未満の年少者の労働時間は1週間に40時間から35時間に、そして延長勤務時間は6時間から5時間に制限されることになった。

【韓国における改正前後の一週間の労働時間の上限等】

(資料)韓国雇用労働部ホームページから筆者作成

急激な最低賃金引上げ、最低賃金は「日本超え」へ

働き方改革のもう一つのポイントは最低賃金の大幅引き上げだ。

韓国の最低賃金委員会は7月14日に2019年の最低賃金を2018年より10.9%引き上げた時給8,350ウォン(約835円)にすることを決めた。2018年の引き上げ率16.4%には至らなかったものの、2年連続の2桁台の上昇であり、2年間の引き上げ率は29.1%に達する。同期間における日本の最低賃金(全国加重平均)の引き上げ率が6.2%であることを考慮すると、韓国の引き上げ率の高さが分かる。

今後、雇用労働部の長官が公示をすれば、最低賃金の引き上げ率は来年1月から適用され、日本の最低賃金(全国加重平均)の時給874円に迫る。さらに、大多数の労働者に支給が義務付けられている週休手当(1週間の合計労働時間が15時間以上の労働者に支給する1日分の手当)を含めると、最低賃金は1万ウォン(約1000円)を超え、日本の最低賃金を上回ることになる。

【韓国における最低賃金及び対前年引上げ率の推移】

(資料)最低賃金委員会「賃金実態調査報告書」

韓国の性急な「働き方改革」の背景事情

韓国政府が残業の上限規制を大きく短縮し、最低賃金を大きく引き上げる改革を実施した理由はどこにあるだろうか。

まず、韓国政府が「週52時間勤務制」を実施した理由は、長時間労働を解消し、労働者のワーク・ライフ・バランスの改善(夕方のある暮らし)を推進するとともに、新しい雇用創出を実現するためだ。

2017年時点における韓国の年間労働時間は2024時間で、日本の1710時間を大きく上回り、データが利用できるOECD加盟国の中で韓国より労働時間が長いのはメキシコ(2,257時間)のみだ。 

【OECD34ヵ国における1年間の労働時間】

(注)トルコを除く(資料)OECD Data (Hours Worked: Average annual hours actually worked)