スクープ!異例入国の北朝鮮幹部が極秘接触した「元政治家の証言」

日体大理事長が訪朝し続ける理由
常井 健一 プロフィール

交流不足、理解不足

――北朝鮮が東京オリンピックに参加することで、日朝の政府間交渉が大きく動き出す機運は生まれるのでしょうか。

どうでしょうかね……。今の日本政府のコブシの上げ方を見ていると、戦略の練り直しや、政策的な変更がない限り、日朝関係が劇的に改善するということは難しいんじゃないんでしょうか。

――今年の平昌オリンピックでは、南北が一気に接近し、4月27日には南北首脳会談が実現するという事態が起こりました。

あれは、南北だからできたことなんですよ。例えばね、韓国は日本に対して厳しいけど、日本は大人の対応を取り続けてきた。一方、韓国は朝鮮に対して、領土内に砲撃を喰らっても、寛大なんですね。そして、朝鮮の人々は、日本が本当は大好きなんです。日本人がかつて欧米に対して持っていたような憧れの眼を向けるんですよね。

ところが、日本は韓国には寛大なのに、朝鮮に対しては大人の対応ができない。そういう国民性を持っている。これは明らかに、交流不足、理解不足から来ているものなんですよ。

われわれ日本人は目に入ってくるニュースを根拠に朝鮮を嫌っています。日本のマスコミの「北朝鮮報道」というものは、大阪の釜ヶ崎の生活ぶりを連日テレビで放送して、「日本というのはこんな国だ」と誤解した印象を植え付けさせるのと同じことをしています。

朝鮮の貧しい人々の暮らしぶりや、政府要人たちの極端な事例を報道することに心血を注いでいて、遅れていることをアピールしたがる。国家のシステムが自分たちと違うから「北朝鮮は悪だ」と思い込ませる。その一辺倒で凝り固まっている。

われわれは渡航自粛があって、朝鮮と交流しにくい状況にあるので、自分の眼で真偽を確かめることができない。だから、日本人の多くは報道を鵜呑みにして朝鮮が嫌いになるんです。

 

――しかし、北朝鮮に実際に行ってみると、ホテルの周辺すら自由に散歩させてもらえません。彼らが見せたいと思うところしか見られないことも事実です。

筆者も先日、北朝鮮を訪問。平壌の都市部を中心に「視察」した

向こうに行くと限られた日程で、最先端のものばかりを見せられるけど、だからといってすべての地域で行われているとは感じていません。

ただ、はっきりしていることは、すべての国民が服を着て、靴下を履き、靴を履いている。つまりこれは、政治システムの問題は横に置いても、国民生活が成り立っている証拠です。日本人は「貧しい国」と言いたがるけど、これだけ経済制裁を受けていたら日本より豊かでないのは当たり前でしょう。

それでも国交を結んでいる国は160カ国を超えていて、北朝鮮に協力する国は多数存在する。いくら「瀬取り」が行われていても、国連が制裁しきれない。それに対して、日本がむちゃくちゃなことをしても恨みや反感を持たれるだけですよ。むしろ、朝鮮に対しては、円熟した大人の国の外交をしてほしいと思っています。

――松浪さんは議員時代、北朝鮮外交に携わったことはあるのでしょうか。

私は小泉政権の時に外務政務官をしていたんですが、日朝外交を扱ったことはなかったし、朝鮮総連とやりとりしたことすらなかった。麻生政権の時に自民党の外交部会長をしていた頃も同様で、朝鮮とはなんにもツテがありませんでした。

一方で、私には朝鮮人に対する偏見がないんですよ。私の生まれ育ったところには4キロごとに部落があったんですよ。部落と部落がある谷間で育ったんですね。小学校、中学校には、在日の子ども、部落の子どもが混ざっている。これだと差別も区別もしていられなくて、みんなが仲良くなった。

高校生の頃には柔道をやっていて、その時の監督が朝鮮大学校の出身だったんです。自分の高校を出て、朝鮮大学校を出て、母校の後輩たちに稽古を付けていた。熱心に指導してくれて、毎日のように焼肉を食わせてくれた。面倒見が良かった。朝鮮相撲も教えてもらいました。私はその先輩のおかげで、レスリングが強くなったんですよ。

昔、帝京高校の教員をやっていたこともあって、当時サッカー部の顧問が古沼貞雄といって、全国トップクラスに育て上げた人間が同僚にいました。帝京は野球部が強くて、サッカー部は弱小だったから、練習場は狭かったし、古沼さん自身はもともと陸上の選手だからサッカーに詳しくなかった。

そこで、隣にある東京朝鮮高校に乗り込んで、グラウンドを借りて、練習相手になってもらううちに、帝京サッカー部はめきめきと強くなっちゃった。私はそれを目の当たりにしていたし、朝鮮高校との教員の交流もありましたので、もともと朝鮮人には親しみがあったんです。