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不確実性が高まる、米国の金融政策を取り巻く「経済環境」

米金利が低下するという決め打ちは早計

10月以降の株価下落などを受けて、米国経済の先行きを慎重に考える市場参加者が増えている。それに伴い、今後の利上げは慎重に進めるべきとの見解を示すFRB関係者も増えてきた。

米国の金融市場では、12月の利上げはほぼ確実だとしても、2019年以降に関しては従来の想定よりも利上げ回数が少なくなるのではないかとの見方が増えている。

一方、米国政府は追加的な減税策の成立を目指す可能性がある。追加減税が実現すれば、一時的に景気の勢い=モメンタムは強まるだろう。そうなると、想定外に従来以上のペースでの利上げが必要になることも想定される。米国の金融政策を取り巻く経済環境の不確実性は高まっている。

 

中立金利とFRBの金融政策

米国の金融政策を考えるキーワードは“中立金利”だ。中立金利とは、経済を過熱させることもなく、冷え込ませることもない、景気に対して中立的な金利の水準をいう。中立金利の水準は計量経済学の手法を用いて推計することによって求められる。モデルを構築する際の前提条件によって推計結果には大きな差が出る。

中立金利は金融政策を評価するうえで重要だ。政策金利(FFレート)が中立金利と考えられる水準に到達すると、金融政策は景気に対して中立的であると考えられる。それ以上に政策金利が上昇すると、本格的に金融政策は引き締め基調に入る。9月のFOMCの予想では、FF金利の長期見通しは2.5~3.5%だった。これは中立金利のレンジと考えればよい。

パウエルFRB議長は政策金利の水準は中立金利には「ほど遠い」との見解を示し、段階的な利上げを続ける必要性を示してきた。ただ、28日に議長は政策金利の水準が中立的な水準を「やや下回っている」と発言した。これは、同氏が従来に比べて追加的な利上げの必要性が低下したとの認識を強めていることに他ならない。

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昨年12月のトランプ減税の効果剥落などを考えると、米国経済の減速(GDP成長率の低下)は避けられない。加えて10月以降、これまでの米国経済を支えてきたGAFAを中心とするIT先端銘柄の株価も大きく下落した。その状況を受けてパウエル議長は先行きの経済環境への慎重な見方を強め、利上げ重視姿勢を修正したといえる。