アメリカの「日本支配」はいつまで続くのか…いま沖縄から見えること

知事選「与党大敗」の衝撃と余波
木村 朗 プロフィール

そうした中でも、日米地位協定をめぐる新しい動き・変化が、中央の国政レベルでも見られる。その一つは、今年9月に行われた自民党総裁選で「善戦」した石破茂氏が日米地位協定の改定を明言したことである。

石破氏は、7月26日の講演会で、「日本が(現在は米軍側が持つ)管理権を日本が持ち、米軍がゲストとして存在することは不可能なことではない」、「(防衛大臣時代に)日米地位協定の『運用改善』に努めてきたが、『改定』そのものに取り組まねばならない」と訴えている。

また、8月21日のフォーラムでも、「つまり(地位協定改定をした)イタリアで米軍機が事故を起こすと、イタリア政府が『飛行差し止め』をするわけです。それは『イタリア国民が一番大事』だからですよ。日米地位協定改定は今まで『アンタッチャブルだ。日米安保協定を変えないと不可能』と言われてきたが、そうでしょうか。『日米地位協定の改定はできない』と決めつけるものではないと思っています」とより具体的な発言を行っている。

これまで国会答弁で、沖縄での相次ぐ米軍ヘリ事故への対応を問われても、『日米地位協定は運用改善だけで十分』と発言してきた安倍首相との違いが鮮明になったといえる(横田一「石破氏が日米地位協定の改定明言 安倍首相との違い鮮明に」『週刊金曜日』2018年8月31日号)。

総裁選で安倍氏に敗れたとはいえ、地方の自民党員の45%の支持を集めているだけに、こうした発言には無視できない重みがあるはずである。

〔PHOTO〕gettyimages

また、公明党は3月、遠山清彦衆院議員を座長とする日米地位協定検討ワーキングチーム(WT)を設置して調査・研究を進め、【起訴前の身柄引き渡し】【基地への立ち入り権】【訓練演習への関与】【事故時の対応】【日米合同委員会】といった日米地位協定改定への5項目の提言をまとめ、8月3日に政府に申し入れている。特に【日米合同委員会】の項目で、「合意内容を原則公開とすること」を明記しているのが注目される(公明党公式HP)。

野党陣営では、従来から日米地位協定改定を強く主張している共産党、社民党だけでなく、最大野党の立憲民主党、野党第二党の国民民主党や自由党も日米地位協定の改定・見直しを行う方向で一致している。その中でも、対等な日米関係の構築を訴えている、次のような方々の発言に注目したい。

《「沖縄県民の中にも『米軍やアメリカ政府が勝手なことを続けていても何も政府は言えないのか』という怒りが積もり積もっている。日米の対等な関係を作り上げることで初めて基地問題も、ヘリ事故問題も解決することができる」小沢一郎自由党共同代表(横田一「日米地位協定改定で国会論戦は野党連携が活発化 首相は“占領国”状態に無自覚」『週刊金曜日』2018年2月9日号)》

《「米国に言うべきことを言わないといけない。日本政府が地位協定改定について『話し合いたい』と言えば、拒否できないはずだ。(改定をしたドイツやイタリアで可能な)米軍機の訓練規制を外務省や防衛省や官邸や政治家が言わないといけない。米国に物を言わない精神性こそが『日米関係は対等でない』ことにつながる」立憲民主党の川内博史衆院議員の発言(同上)》

《「ヘリの不時着事故でも県の飛行訓練中止要求に耳を貸さず、訓練を再開した。米軍の横暴の根底にあるのが『日米地位協定』で、抜本的改定が必要だ」共産党の小池晃書記局長(同上)》

《「日米地位協定を変えようとする政治家は必ず失脚させられるが、今回、私はそれをやりたいと思っている」、「私たちは、沖縄にものすごい迷惑をかけている。北朝鮮のミサイルは最初に沖縄の基地を狙う。絶対に撃たせてはいけない」立憲民主党の荒井聰衆議院議員(IWJ「日米地位協定を変えようとする政治家は必ず失脚させられるが、私はそれをやりたい」〜立憲民主党・荒井聰候補(北海道3区)が表明!2017.10.19》

 

いつまでいびつな日米関係を続けるのか

ここまで、日米地位協定改定について述べてきたが、ここではこれ以上その詳細を考察することはできないので機会をあらためて考察を深めていきたい(矢部宏治『知ってはいけない2 日本の主権はこうして失われた』講談社現代新書、吉田敏浩『「日米合同委員会」の研究:謎の権力構造の正体に迫る』 創元社「戦後再発見」双書を参照を参照)。

日米地位協定問題は、これまで不可視化されてきた日米合同員会の存在や米軍の管轄下に置かれている横田空域の問題などを考えても分かるように、日本の主権と独立に関わる最重要問題といってよい。

訪米した玉城知事が、

「沖縄県は日本と米国と三者対話を持ちたいと切望していますが、アメリカは日本に対して『それは日本国内の問題だ』と片付けてしまいます。沖縄がアメリカに直接米軍基地に関する苦情を訴えると、アメリカは苦情を日本政府に回します。

そして日本政府は地位協定などを理由として沖縄からの苦情を切り捨てる。こうした状況下で沖縄県民は一体どのようにして声を上げることが出来るのでしょうか? 沖縄からの声はどこに届ければいいのでしょうか?

沖縄県は政治的かつ法的に手段を尽くして、辺野古の辺野古建設を阻止しようとしていますが、政府の扉と法律の門は閉じつつある、という厳しい現実に直面しています」

と沖縄の厳しい現状について紹介している(11月11日のNY大学での講演)。

戦後70年以上も続いてきた「終わらない占領」「属国」「植民地」「半主権国家」といった言葉に象徴される、現在のいびつな日米関係の在り方を根本的に見直さなければならない。

日米地位協定の改定は、対等な日米関係の構築と主権回復の第一歩であり、沖縄の辺野古新基地建設を含む米軍基地問題の解決もそれなくしてあり得ないことをわたしたちは銘記しなければならない。

「日米地位協定の下では日本国の独立は神話であると思いませんか」という翁長前知事の言葉を真摯に受け止めることがいまわたしたちに求められている。