アメリカの「日本支配」はいつまで続くのか…いま沖縄から見えること

知事選「与党大敗」の衝撃と余波
木村 朗 プロフィール

日米地位協定改定への新たな動き

日米地位協定改定を求める沖縄の声は、国内世論を少しずつ動かそうとしている。

沖縄県は昨年(2017)年9月に翁長知事の名前で日米地位協定の見直しに関する要請書を政府に提出している。沖縄県が独自の見直し案を提出するのは17年ぶりであった。

当時の小野寺五典防衛相との会談で、翁長知事は、前年(2016年)に発生した元海兵隊員の米軍属による殺人事件や米海兵隊のMV22オスプレイ墜落事故にふれ、「県民の怒りは限界を超えつつある」と指摘した。

さらに、日米地位協定の見直しや過重な基地負担の軽減が沖縄の米軍基地問題の抜本的な解決につながると述べ、米軍の施設外で事件事故が起きた場合、日本の捜査当局が現場の統制を主導することや、捜索や差し押さえなどを行う権利の行使を明記することなどを求めている。

 

また、沖縄県は昨年(2017)12月、ドイツとイタリアにおける地位協定の運用実態調査に着手し、文献調査や現地調査を今年1、2月にかけて行った。また、6月6日に県の基地対策課のHPに「ポータルサイト」を開設し、米軍の駐留条件を定めた「地位協定」の運用状況について日本と他の主な米軍駐留国で比較した結果を掲載している。

その「他国地位協定調査の中間報告書について」では、ドイツやとイタリアについて、(1)米軍の活動にも国内法が適用される(2)受け入れ国側に米軍施設への立ち入り権が明記されている(3)基地を抱える自治体と米軍の間に公式な協議機関が設けられている、など日本の場合(日米地位協定)との違いなどを紹介している。

同じ6日に開かれた第6回「全国知事会米軍基地負担に関する研究会」でも日米地位協定改定に向け全国知事会の後押しを得たいという翁長知事の意向もあって、沖縄県側から地位協定の国際比較についての紹介・説明が行われた。

全国知事会は翁長前知事の「基地問題は一都道府県の問題ではない」との訴えを受け、2年近くかけて提言にまとめ、7月の全国知事会議で全会一致で初めて採択した。

〔PHOTO〕gettyimages

そして8月14日、同会長の上田清司・埼玉県知事らが外務、防衛両省と在日米大使館を訪問して、日米地位協定の抜本的な見直しを日米両政府に提言した。

その提言は、航空法や環境法令など国内法の適用、事件・事故時の基地への立ち入りなどを日米地位協定に明記すること、米軍の訓練ルート・時期に関する情報を事前提供すること、基地の使用状況などを点検して縮小・返還を促すことなどを求めている。

上田知事は報道陣に「基地のない県も含めて共通の認識を持った」と述べた(米軍基地を抱える15都道府県でつくる渉外知事会は、沖縄県で米兵による少女暴行事件が起きた1995年以降、日米地位協定改定を求め続けている)。

同行した謝花沖縄県副知事も「全国知事会としての提言は憲政史上初。画期的で心強い。沖縄県の思いもすべて入っているので、政府は取り組みをお願いしたい」と話しているのが注目される(古城博隆「日米地位協定の抜本的見直し、全国知事会が両政府に提言」『朝日新聞DIGITAL』2018年8月14日)。

こうした新しい動きは、翁長雄志前知事が身体を賭けて訴えた「魂の飢餓感」(基地問題で沖縄の思いが本土に届かない理不尽さを表現したもの)が少しずつ日本本土の人々に伝わりつつあることを示している。

しかし、日米地位協定は補足協定などで運用を見直す点はあったものの、1960年の締結以来、一度も改定されていないのが現実だ。