アメリカの「日本支配」はいつまで続くのか…いま沖縄から見えること

知事選「与党大敗」の衝撃と余波
木村 朗 プロフィール

対米自立の大きなチャンス

玉城氏圧勝の意義は、「自公連携」による「勝利の方程式」という不敗神話を崩壊させたことばかりではない。

多くの沖縄県民が辺野古新基地地建設を強引に進める安倍政権の強権的な手法に対して断固ノーという強い意志表示をあらためて示した点にあることは言うまでもない。

しかし安倍政権は、知事選での玉城氏の圧倒的勝利であらためて示された沖縄の民意を無視してあくまでも辺野古新基地建設を強行する姿勢を取り続けている。

生前の翁長知事が最後の力を振り絞って行った沖縄県による辺野古埋立て承認の撤回に対して、政府は直ちに行政不服審査法に基づく不服審査請求を行った。

行政法学者を中心に多くの識者が指摘しているように、この法律は国民が行政に対して不服を申し立てる国民の権利救済が目的なのに、政府が国民の権利を奪うために使うのは本末転倒であって到底受け入れがたい暴挙である。

その結果、当然のように身内の石井啓一国交相(前公明党政務調査会長)が政府の請求を認めたが、まさに「茶番」「自作自演」ではないか。

行政不服審査法が政府に「悪用」されたのは、沖縄県による辺野古埋立て承認取消しに対して行われたのに続きこれで2回目となる。

このことはこの国では三権分立がまったく機能しておらず、もはや法治国家の体をなしていないことを示しているといわざるを得ない。

普天間基地〔PHOTO〕gettyimages

今度の沖縄知事選でのもう一つの大きな争点は、辺野古新基地建設の是非と並んで、日米地位協定改定の問題であった。

この問題は、辺野古新基地建設問題の影に隠れてなぜかメディア報道でも取り上げることが少なかったためあまり注目されなかった。

玉城氏は、立候補後に発表した政策「誇りある豊かな沖縄。新時代沖縄」の中で、○日米地位協定の抜本改定、主権の行使を求める(「日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律」を廃止し、米軍にも日本の国内法を順守させるよう強く求める。県の他国地位協定調査で明らかとなったドイツの交渉事例などを生かし、領土・領空・領海に対する主権行使を求める)を掲げていた。

また8月29日の出馬表明の際には、全国の世論調査で辺野古建設不支持が44%で支持を上回ったことを翁長前知事の“功績”として紹介する中で、「保守政治家であった翁長知事が自ら先頭に立って、沖縄の過重な基地負担の在り様を国民に問い、全国知事会で日米地位協定の不平等を知らせました。『この先、何十年もこれでいいのか』『主権国家としてこれで良いのか』と発信し続けたことで、やっと浸透し始めたのではないかと思います」と述べている。

 

さらに9月7日のIWJ岩上安身氏によるインタビューでも、「日米地位協定を変える事は、絶対にやらなきゃいけません。日本国民にかぶさってる網。沖縄だけの問題じゃない。沖縄から声を上げ続けないと。県民の誰一人として取り残さないよう、頑張って行きたいと思います」といった重要な発言を行っている。

一方、佐喜眞氏も自身の公式サイトで、「政府と対等な交渉により日米地位協定の改定を具体的に提言」「日米地位協定の見直しを強力に求めます」といった公約を掲げていた。

ところが、選挙戦に突入すると、「普天間基地閉鎖」を強調することはあっても、辺野古への移設や日米地位協定改定については触れることはほとんどなかった。

また、今年5月に沖縄の米軍基地の負担軽減を訴えるために訪米した報告(宜野湾市のホームページに掲載)には、「日米地位協定」の文字すらまったく出てこないというのは不可解である(「沖縄知事選 佐喜真氏が掲げる『地位協定見直し』の大ウソ」日刊ゲンダイDIGITAL)。

佐喜眞氏が玉城氏とともに、日米地位協定改定を公約にしていたことは、次の『沖縄タイムス』の「社説」[沖縄県知事選 日米地位協定改定]保革超えた行動起こせ(9月17日付)にも触れられている。

《前宜野湾市長の佐喜真淳、前衆院議員の玉城デニー両氏とも地位協定改定を掲げ、一致している。佐喜真氏は、県がすでに改定を要請している見直し項目を引き継ぐとしている。特に地位協定の運用を協議する日米合同委員会の在り方を変更したい考えだ。合同委に自治体が関与し、地域で発生する事件・事故の防止について発言できるように改めるとしている。

玉城氏は、最低飛行高度などを定めた航空法に、米軍が縛られない特例法を廃止し、国内法の適用を訴えている。事故や環境汚染が確認された場合は、自治体の速やかな立ち入りを認めることや、合同委の中に自治体代表が参加する地域特別委員会を設置することを求めている。》

結局、佐喜真氏の公約は、今年2月の名護市長選で渡具知氏側が公明党との政策協定に「米軍海兵隊の県外・国外移設」と「日米地位協定改定」を盛り込んだのと同じで、日米地位協定の見直しを掲げる公明党の推薦を得るための「2枚舌」「目くらまし」に過ぎなかったのではないか。

この点に関連して、日本共産党の小池晃書記局長が10月1日の記者会見で、佐喜真淳候補も同協定改定を明確に公約に掲げ、安倍官邸が全力で支援していたと指摘し、「安倍政権には地位協定改定に全力をあげる責任がある」と主張しているのが注目される。

小池氏は、さらに「もし安倍政権が、地位協定改定に取り組まないのであれば、“選挙のときの口からでまかせ”だったということになる」と指摘しているが、全く同感である(『しんぶん赤旗』10月2日付)。