アメリカの「日本支配」はいつまで続くのか…いま沖縄から見えること

知事選「与党大敗」の衝撃と余波
木村 朗 プロフィール

沖縄知事選「玉城氏圧勝」の意義

今回の沖縄県知事選での玉城氏の圧勝は、沖縄から始まった「自公連携」による安倍政権の“終わり”の始まりを意味している。

そもそも「自公連携」は1998年11月の沖縄県知事選挙で公明党は従来行っていた革新候補(大田昌秀氏)の支持を取りやめ、保守(自民)候補の稲嶺恵一氏を支援して当選させたことが始まりであった。

それが国政レベルでの1999年の自自公連立政権、2002年の自公保連立政権を経て、2003年の自公連立政権となったのである。

まさに、「自公の連携はこの沖縄から始まった」(2005年9月3日の那覇市での公明党神崎代表の発言)のであり、その立役者の一人が翁長雄志氏(当時は県議で自民党県連幹事長)であった。

しかし、今回の沖縄知事選挙での玉城陣営の決定的勝利(圧勝)と佐喜真陣営の致命的敗北(完敗)は、こうした「自公必勝パターン」を完全に覆すものであった。

 

翁長氏が生んだ“負の遺産”ともいえる「自公連携」が一挙に崩れ去ったのはまさに歴史の皮肉であった。

この沖縄知事選での「自公連携」の完敗がいずれ国政レベルでの自公連立政権の退陣につながるかはまだ不透明だが、その可能性は十分にある。

「オール沖縄」が支援した前市議の山川均氏が勝利した豊見城市長選挙(10月14日)に続き、那覇市長選挙(10月21日)でも玉城知事が支援した現職の城間幹子氏が自公などが推薦する新顔の前県議翁長政俊氏を大差で破って2回目の当選を決めたように、沖縄が日本政治の地殻変動の起点となる動きは続いている。

玉城デニー知事誕生は弱体化しつつあった「オール沖縄」を再活発化させた。日本を変革するための闘いはすでに始まっているのだ(白井聡「沖縄県知事選 オール沖縄の再活性化に期待」『月刊日本』10月号を参照。

それとの関連で、10月12日に安倍晋三首相と初面談をすませた玉城デニー知事が、その後の知事就任の野党挨拶回りで自由党の小沢一郎代表に「(玉城県政で)本当に沖縄の可能性をしっかり実現できれば、日本全体に広がっていくし、それが政権交代をした時に『ほら』という新しい政府の姿になっていくと。いやー、小沢代表。まだ引退できませんよ(笑)。大事なところですよ。私たちの船出は始まったばかりです。新時代日本に向かっていきます」(前掲・横田一氏の記事を参照)と語り、政権交代にも関与する意欲を示したことが注目される。

いずれにしても、今回の沖縄知事選挙で、公明党の最大の支持団体である創価学会の約3割の会員が、党中央の方針に「造反」して、玉城氏支持に回ったことは、創価学会・公明党本部だけでなく政府・自民党にも大きな衝撃を与えたことは明らかだ。

今回の沖縄知事選での与党大敗という結果が、今後の日本の政局や安倍首相の政権運営に大きな影響をあたえることになることは間違いないだろう。

〔PHOTO〕gettyimages

政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏も、

「安倍政権にとって影響の強い知事選挙は3つ。原発再稼働を抱える新潟県、基地問題を抱える沖縄県、農産物の一大産地でTPP問題を抱える北海道。6月の新潟知事選では勝ったとはいえ、今回、沖縄で大敗した影響はとても大きい」

「元々、沖縄の学会のみなさんは平和運動をやってきた。平和というのは学会員の支柱でもあるのです。

今後、3選を果たした安倍首相は残り任期で憲法改正をやると声高に言っていますが、9条改正などを進めていくと、学会員から反発が出る可能性は高い。

公明党は去年の総選挙に敗れてから、党勢立て直しのために来年の統一地方選や参院選で必勝を目指していますが、そんな中で組織が結束するためには憲法改正などには乗れない。公明党幹部も、『参院選まではやれない』と話しています。

そうなると安倍首相の憲法改正がついえて政権が一気に求心力を失うこともあり得る。政権にとっては、今後の大きな不安要素です」

と早い段階で語っていた(清談社「ダイヤモンド・オンライン」2018.10.7)。

すでに永田町では、追い込まれた安倍政権が、来年の参院選を衆参ダブル選挙に切り替えて実施するという予測が各方面からも出されている。

自民党は、11月28日の段階で、衆院憲法審査会が与党の想定通りに進まず、自衛隊の存在明記など4項目の憲法改正条文案について、今国会での他党への提示を断念する方針を固めたとの報道も出た(「自民が改憲案の今国会提示断念…安倍側近の舌禍が尾を引き」『日刊ゲンダイ』2018/11/29)。

孫崎享氏(元外務省国際情報局長)が指摘しているように、「来年夏の参院選前に国会が改憲案を発議することは極めて難しくなり、安倍晋三首相は改憲戦略の再考を迫られそうだ」(「孫崎享のつぶやき」2018/11/29 06:27)という状況である。

安倍首相にとって、悲願である改憲実現だけでなく、史上最長の長期政権という「勲章」も砂上の楼閣、風前の灯となりつつある。

ところが、その後、入管法改正案を衆院で法案を強行採決したばかりの安倍政権は、今国会初となる衆院憲法審査会の開催を、野党の合意なく自民党・森英介会長の職権を濫用して強行するという暴挙を行った。

これは前代未聞のやり方であり、安倍首相にとって、悲願である改憲実現を何としても来年7月の参議院選挙前に行おうとする強い姿勢のあらわれだ。

このまま安倍首相の思惑通りに事態が進むとは思われないが、今後の政局の動向はますます混迷を深めていることだけは確かだ。さらなる国家権力の暴走を阻むためにわたしたち市民に何ができるかを真剣に考えなければならない。