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アメリカの「日本支配」はいつまで続くのか…いま沖縄から見えること

知事選「与党大敗」の衝撃と余波

無視され続ける「沖縄の民意」

玉城デニー沖縄県知事が安倍晋三首相と11月28日に2度目の会談を行った。

最初の会談で合意した沖縄側(謝花喜一郎副知事)と政府側(杉田和博官房副長官)の4回目の集中協議が行われた結果を受けての玉城・安倍会談であった。結局、10月12日の初会談以降、政府側の「辺野古移設が唯一の解決策」との立場は一貫して変わらず、平行線のまま物別れに終わった。

こうした場合、メディア報道でよく使われる「双方の歩み寄りは見られず」「意見の隔たりは埋まらず」という「中立的」表現はふさわしくないのは明らかだ。

なぜなら、9月30日に行われた沖縄知事選挙で、「辺野古に新基地は造らせない」という翁長雄志前知事の遺志を継承した玉城デニー氏の圧倒的勝利によってあらためて(「再び」ではなく「何度も」)沖縄の民意が示されたのにもかかわらず、安倍政権はそれを全く無視する姿勢を貫いており、「辺野古移設が唯一の解決策」とのはじめに結論ありきの形ばかりの協議であったことは明らかだからである。

来年2月24日に実施されることが決まったばかりの辺野古新基地建設の是非を問う沖縄県民投票についても、その結果がいかなるものであれ今後の日本政府の対沖縄基地政策に一切の影響を与えることはないとの菅義偉官房長官の発言・姿勢は、この国が人権や民主主義・地方自治を全く顧みない独裁的な全体主義(ファシズム)国家にすでになりつつあることを物語っているといっても過言ではない。

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「勝利の方程式」崩壊の衝撃

翁長雄志知事の急逝(8月8日)を受けて行われた沖縄県知事選挙(9月13日告示、9月30日投開票)では、「辺野古に新基地は決して造らせない」という翁長前知事の強固な遺志を受け継いだ玉城デニー氏(前自由党衆院議員)が政権与党などが推す前宜野湾市長の佐喜眞淳氏に、8万票以上の大差をつけて圧勝するという結果に終わった。

今回の知事選挙では、翁長前知事の後継者として「指名」された玉城氏の陣営にとっての「弔い合戦」となっただけでなく、政府与党側が国会議員やゼネコン・創価学会関係者などの国政並みの大量動員を行って佐喜眞氏を全面支援する展開となった。

また、佐喜眞氏陣営が一貫して辺野古新基地問題を争点から隠す戦術をとる一方で、選挙期間中に「玉城デニー氏が知事になると沖縄は中国に乗っ取られる」というような数多くのデマ・誹謗中傷が特に玉城氏陣営に対して行われるなど、まさに異例ずくめのなりふり構わない「ネガティブ・キャンペーン」が行われた(9月9日から12日までの間にツイッター上で、「オール沖縄」が支援する玉城デニー氏に対して攻撃的・否定的な内容の投稿が、約9割に達したという:『琉球新報』9月22日付、雨宮処凛氏のブログ「玉城デニー知事の誕生と、数々のデマと『愛国ビジネス』」を参照)。

 

玉城氏陣営の勝因は何だったのか。

翁長前知事の遺志を継承することを翁長前知事の家族(妻の樹子さん、次男の翁長雄治・那覇市議)とともに強く訴えたことに加えて、候補者である玉城氏本人の明るく親しみやすい人柄が多くの有権者の支持・共感を引き寄せたこと、無党派層を中心に幅広い層の支持を得るために政党色を前面に出さずに極力抑えたこと、あくまでも庶民の側に立ち聴衆と同じ目線での訴えに徹したことなどであり、それが史上最多の得票につながったといえよう。

一方、佐喜眞氏陣営の敗因としては、佐喜眞氏の知名度不足や辺野古新基地建設の争点隠し、地元への公共事業を通じた利益誘導や携帯料金の4割値下げの話などがマイナスに影響したことや、中央から有名な政治家を次々と投入し、地元企業に圧力をかけるという自民党流の“中央主導の選挙戦術”が通用しなかったことが挙げられる。

ここで特に注目されるのは、次の2点である。

(1)今年2月の名護市長選挙(翁長前知事が支援した稲嶺進前市長が移設推進の政府与党が全面支援した渡具知武豊氏に敗北した)や6月の新潟知事選挙(野党統一候補を破り、自公推薦の花角英世氏が当選)で奏功したとされる期日前選挙を重視(悪用!?)した自民党流の選挙戦術が壁にぶつかったことである。

まさに「自民、中央の組織選挙が大きな威力を発揮した」(翁長前知事の言葉)のが名護市長選挙であった。

しかし、今回の知事選では、選挙最終日に沖縄を襲った猛烈な台風24号の影響もあり、佐喜眞陣営だけでなく、玉城陣営も期日前選挙への動員に力を入れたため、期日前投票の得票で佐喜眞氏が玉城氏を圧倒する結果とはならなかった。

菅義偉官房長官や二階俊博自民党幹事長、小泉進次郎氏など著名な自民党議員が応援演説を何度も行って、その勢いのまま期日前投票に流れ込むという従来のやり方が思うほどの大きな効果を上げられなかったのである(菅官房長官の演説は、佐喜眞氏が「政府のいいなり」というイメージを持たれかねないという意味で逆効果であったとの評もある)。

(2) これまでの選挙で大きな威力を発揮してきた「自公連携」の選挙が今回の知事選挙ではあまり機能しなかった点である。その理由は明白である。

良心的な創価学会員の「造反」であった。公明党は2014年の知事選では、党県本部が辺野古移設反対であったため自由投票だったが、今回は佐喜眞氏側と米軍普天間飛行場の辺野古移設問題には触れず、「海兵隊の県外国外分散移転」など5項目を盛り込んだ政策協定を結んで、山口那津男代表や北側一雄副代表が沖縄入りするなどして全面的に応援した。さらに創価学会も、原田稔会長と佐藤副会長が沖縄入りしたばかりでなく、数千人の創価学会員を動員してローラー作戦を展開したという。

しかし、それでも創価学会員の約3割が玉城デニー候補に投票したといわれるように、一般の学会員を十分に納得させることはできなかった。それは、選挙前に出された次のような抗議の声からもわかる。

公明党副委員長などを歴任した元衆院議員の二見伸明氏の「公明党は隠していた『辺野古移設賛成』があぶり出された。

沖縄創価学会は会員を守りたかったら自主投票にすべきだ」、「地元の本音は辺野古反対。学会関係者が大挙して沖縄に押し寄せ、沖縄の選挙に介入するのはもうやめろと言いたい」との言葉や「『辺野古』に言及せず、海兵隊の県外・国外移転を掲げるのは、まやかしです」、「(党県本部は)辺野古新基地建設反対の沖縄の民意を知っているから建前として『県内移設反対』を掲げているだけ。

選挙では『辺野古には触れるな』という統制も利いています。東京の論理を押し付けるのではなく、投票先は学会員それぞれが決めるべきです」という創価学会員で那覇市在住の仲宗根政良さんの訴えがまさに揺れ動く創価学会の心情を明らかにしている(編集部・渡辺豪:「組織で白眼視されている」創価学会員が沖縄県知事選で反旗、『AERA』2018年9月17日号)

このように、今回の沖縄知事選挙では、これまで威力を発揮してきた「自公連携」による「勝利の方程式」が機能せずにその不敗神話・必勝パターンが一挙に崩壊することになったといえよう。

そのことをジャーナリストの横田一氏は、「今回の沖縄県知事選では、『名護市長選方式』(自公合同選対を組んで水面下で企業団体や創価学会員に支援要請)の不敗神話が崩れ去った。

菅官房長官と佐藤浩・創価学会副会長が生み出した『勝利の方程式』を、野党と市民が連携した『オール沖縄方式』が打ち破ったともいえる」(横田一「沖縄県知事選での玉城氏の圧勝は、翁長知事が生んだ「自公連携」の“終わり”の始まり」2018.10.23)とズバリと総括している。