「東京地裁はゴーン氏の保釈を認め直ちに釈放せよ」ある会計人の提言

長期拘留には、なんの意味もない
細野 祐二 プロフィール

脅し上げ

役員に対する超高額将来給付は、その時点の権力者によって決定される。支払人は将来の権力者であり、その時、支払決定時の権力者は退職し既に権力を失っている。この場合、新権力者が旧権力者の決定した超高額給付を支払う行為は、自分の在任中の会社の資金繰りを悪化させるだけのことで、何のメリットもない。

すなわち、超高額将来給付が本当に支払われるためには、旧権力者は、退任後といえども会社に対して支配力を継続していなければならない。

 

ゴーン前会長は自分の退職後における強い影響力の保持を夢見ていたであろうが、ゴーン前会長は日産自動車の株を3百万株持っていただけのことで、その持株比率は0.074%に過ぎない。どのような画策を行おうが、一旦日産自動車をやめてしまったら、ゴーン前会長がその権力を維持することは不可能に近い。

企業会計原則による客観的評価を行う限り、ゴーン前会長が50億円の先送り報酬を手にする蓋然性は極めて低かったのである。現に、会長職を解任してしまった日産も、この期に及んで、ゴーン前会長の先送り報酬50億円を支払わないではないか。

以上、企業会計原則上の発生主義の原則に従う限り、ゴーン前会長の先送り報酬50億円は有価証券報告書において開示すべき役員報酬には該当しない。すなわち、ゴーン前会長の逮捕事由である有価証券報告書虚偽記載は根拠がない。

東京地検特捜部は、逮捕拘留中のゴーン前会長を特別背任による再逮捕で脅し上げ、自白調書を取ろうとしている。そこで地検特捜部がマスコミに垂れ流しているのが、

・ベイルートとリオデジャネイロの21億円に上る高級住宅
・リオデジャネイロの600万円のヨットクラブ会員権
・40億円分のSAR(株価連動型インセンティブ受領権)
・おねいちゃんの数千万円の報酬
・17億円のデリバティブ損失の日産への付替え

など、ゴーン前会長の会社私物化を訴える日産自動車側内部資料の数々である。

特別背任罪(会社法第960条)の立件のためには、ゴーン前会長が、「自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加え」たことを立証する必要がある。