残さず食べて!・給食で居残り・部活で米三合…が子どもの心を壊す

間違った「食事指導」の深刻な影響
山口 健太 プロフィール

「3つのしすぎ」が子どもの心を壊す

そしてそんな事からも、私は「3つのしすぎ」によって、子どもの心が壊れてしまう可能性があるとお伝えしたい。

私は子どもがごはんを食べなくなる原因として「大人の3つのしすぎ」があると感じている。

それは、

1. プレッシャーのかけ過ぎ
2. イライラしすぎ
3. 心配しすぎ

という3つだ。

プレッシャーの掛け過ぎ、イライラしすぎがよくないのは先に述べた通りだが、逆に「うちの子は全然食べない……」と不安になるのもよくない。

たとえば以前、自閉症による「超偏食」に悩んでいた娘を持つ、管理栄養士の小林浩子さんとお会いした時に、印象的な話を聞いた。

今では娘さんは「野菜も食べたい!」と自分から言うようになったというが、以前は「白いものしか食べない」という状況で大変苦労されたそうだ。

そこで「どうやってその超偏食を克服していったのか?」と質問したのだが、答えは「心配して、あれこれ偏食対策をするのを一切やめて、自分自身が料理を楽しむ事を優先した」との事だった。

「楽しく食べる」ことが食育につながる

他にも、給食を残す子がいない保育園として有名な「さくらしんまち保育園」に伺った時も、「残さず食べよう!」等の食育は一切行われておらず、先生が「どれくらい食べたい?」と子どもたちに聞きながら、配膳していたのが印象的だった。小嶋園長先生が「無理やり食べさせる必要はない。子どもたちの気分が上がっていれば、強制しなくても自然と自分から食べるようになる」とおっしゃっていたのもよく覚えている。

私のところに相談に来た保護者のケースでも、子どもに対して「今日は給食食べられた?」と聞くのをやめてもらったところ、少しずつ食べられるようになっていった

他にもたくさん紹介したい事例があるが、食育は厳しくやるものではなく、食べる楽しさを感じてもらう為にやるべきものだ。そして、食と楽しいという感情が結びついた時、子どもたちから「食べたい意欲」が湧き、食べ残しも減っていくのである。

「食べろ!」と強制するよりも、さきほど伝えた「3つのしすぎ」を手放し、安心できる環境を整えてあげてほしい

食事はもともと楽しめるはずのもの。強制で食事は楽しくならない。「食べるって楽しいんだ」と感じられることが食育の第一歩なのだ Photo by iStock

栄養面から「しっかり食べさせなければ」と思う大人もいるかもしれないし、それは子どもの成長を願う気持ちから出てくるものだろう。

しかし、子ども達が楽しく食べられる事を優先していれば、健全な食欲が自然と出て、結果的に栄養面も満たされる事になるので安心してほしい。なにより、食べることは楽しい、そう感じさせることが大切なのだ。