残さず食べて!・給食で居残り・部活で米三合…が子どもの心を壊す

間違った「食事指導」の深刻な影響
山口 健太 プロフィール

ストレスやプレッシャーで食べられなくなる

一般的な感覚では「食欲はお腹が空いている時に出るもの」と考えるだろうが、それだけでは不十分なのだ。

実は人には大きく2つに分けて、ストレスやプレッシャーを受けると、胃袋が拡張して食欲増進(過食気味)になる「フードファイタータイプの胃袋」を持つ人と、ストレスやプレッシャーを受けると胃袋が収縮して食欲減退(拒食気味)になる「神経質タイプの胃袋」を持つ人がいる(これは整体師・野口晴哉氏の「体癖理論」を元に、私がわかりやすく2つに分けたものだ)。

これは何も難しい話ではない。ストレスで食べ過ぎて太る人もいれば、逆に食欲が湧かずに痩せてしまう人もいるのは、あなたもイメージしやすいはずだ。

そして「給食での居残り」は、子どもたちにプレッシャーを掛ける行為である。要は「神経質タイプ」の子にとっては、緊張感や不安感を増幅させて、食欲減退に繋がる行為なのである。なぜなら、食べるのが遅い子だった人にはわかるだろうが、居残りで食べさせられるというのは、大変苦痛なことだからだ。

一方で、給食の居残りをやめる。具体的には「13時になったら、たとえ食べている途中でも片付ける」というルールを設けた場合どうなったか?

食べるのが苦手な子にとっては「居残りさせる心配がない」ので、リラックスして食べられ食欲が出るようになり、これまでよりも食べられるようになる。食べるのが得意な子にとっても「早く食べないと片付けられちゃう」わけなので、お友達とのおしゃべりを控え、時間内に食べ切ることにつながるのだ。

 

「食べなさい」より「ひと口食べてみたら?」

さて。ここでよく出てくる疑問は「無理やりにでも食べさせなかったら、子どもの好き嫌いは減らないのではないか?」というものだ。

こちらについても補足しておくと、人の好き嫌いというのは食べ物に対して「嫌な記憶」が結びついた時に起きるものである。

その一例として「前にピーマンを食べたときに苦くてまずかった!

前にトマトを食べたときにぐちゃっとした食感が気持ち悪かった

前に生牡蠣を食べたら気持ち悪くなってしまった

お母さんにうるさくキノコもしっかり食べなさい!と怒られた

お父さんがインゲン豆はマズいと言っているから僕も嫌い」……などがある。

つまり、一般的に思われている「味」や「食感」だけの問題はないし、むしろ「無理やり食べさせられた事がきっかけで好き嫌いが増える」という事も有り得るという事なのだ。

当然、好き嫌いを放置するのは、食わず嫌いになったり、子どもの食の楽しみが広がらなかったりするという意味で避けたい事である。

なので、「一口食べてみたら?」という提案をするのは大切な事だと思う。しかし、強制的に無理やり食べさせる事はさらなる好き嫌いの増加に繋がるので注意したい。

無理やり食べさせられたり、初めて食べたときの印象が最悪だったり……好き嫌いの多くは「過去の記憶」と結びついている。「食わず嫌い」「好き嫌い」をなくすには、強制では逆効果なのだ Photo by iStock