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ガンバ快進撃の要「宮本恒靖監督」は日本サッカーのボスになれるか

今日勝てば、クラブ新記録の10連勝

「いきなり監督」で結果を残した

宮本恒靖(41才)は、サッカー日本代表選手として71試合に出場し、2002年と2006年、2度のW杯で守りの要として奮闘している。「ツネ様」と愛された端正なマスク。キャプテンを務め、言動には知性も感じさせた。

その宮本は今シーズンから、降格の危機に喘いでいたJ1ガンバ大阪の監督を任されている。

監督就任後、18節から24節までの成績は1勝3敗3分。思うように勝ち点を稼げていない。はまってしまったJ2降格圏内から抜け出すことができなかった。

しかし、25節にJリーグ王者である川崎フロンターレに2−0で勝利した後は、破竹の9連勝を飾っている。新鋭監督は、見事にJ1残留を果たした。

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17節までのガンバは、ブラジル人のクルピ監督が戦術的に放任主義で、守備を構築できていなかった。そこで宮本監督はポジションを修正しながら、守備の形を作り出し、球際での強度や精度を高めている。25節に、元日本代表の今野泰幸が復帰したことによって守備が安定する一方、レノファ山口から獲得した小野瀬康介が攻撃を牽引したのも大きかった。

もっとも、就任当初は宮本監督の“登板”に懐疑的な声も上がっていた。

これまでガンバのユース、U−23の監督を務めてきたものの、成績的に特筆すべき点はない。例えば昨シーズン、U−23ガンバ大阪は17チーム中16位。それでも、順調にカテゴリーを上がってきたことで、「生え抜きの元スター選手だから、甘やかされている」とも関係者の間では揶揄されていた。

しかし、監督としてキャリアを積み上げてきたことが、正念場で吉と出ることになった。

 

負けた後の監督会見でも、宮本はまったく動じていない。決然とした表情で、論理的に物事を説明する。それはリーダーとしての風格というのか。「監督なら当然」と思われるかも知れないが、ぼそぼそと言い訳を連ねるだけで、なんの整合性もない監督もJリーグでは少なくない。その体たらくで、トレーニングから戦いの強度を上げ、ロッカールームで選手の士気を高められるはずはないのだ。

〈自らが決断し、集団を統率し、結果に責任を感じながら、前進し続ける〉

宮本は負けても勝っても、そんな監督の空気を身に纏っている。

おかしな言い方に聞こえるかも知れない。しかし監督というのは特別な立場で、決定を下すリーダーとして、選手ともコーチとも強化部長とも違う。宮本は指導者としての1年目こそアカデミーのコーチだったものの、その後は監督しかやっていない。ユース年代も含め、あくまで「監督」であり続けているのだ。