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ついに激突「トランプvs.習近平」会談後の世界経済シナリオ

締め上げられた中国は…

ボールは習近平の側にある

米国のトランプ大統領が12月1日、アルゼンチンのブエノスアイレスで中国の習近平国家主席と会談する。貿易や安全保障問題をめぐって激しく対立する米中は合意できるのか、それとも決裂するのだろうか。

両者は会談を前に、ジャブの応酬を繰り返している。

 

トランプ氏はウォールストリートジャーナル紙のインタビューで「合意するためには中国が米国との競争に扉を開かなければならない」と語り、合意できなければ、新たに2670億ドル分の制裁関税を追加する考えを明らかにした(https://www.wsj.com/articles/transcript-of-president-trumps-interview-with-the-wall-street-journal-1543272091)。

これに対して、中国の崔天凱駐米大使もロイター通信とのインタビューで「双方の懸念に均衡のとれた姿勢で臨むことが解決の鍵だ。率直に言って、これまで米側は我々の懸念に十分な反応を示していない」と反撃している(https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-ambassador-idJPKCN1NW2F7)。

両者はブエノスアイレスで11月30日から開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席し、12月1日の夕食会で会談する予定だ。合意と決裂の2つのシナリオに分けて、両者が置かれた立場と展開を考えてみる。

まず、合意する場合だ。

トランプ氏の立場は明確である。中国が知的財産の窃取や外国企業に対する技術移転の強要を止めなければ、合意しない。成果がないのに妥協すれば、共和党だけでなく議会下院で多数を握る民主党からも批判される。そうなると、2年後の大統領再選戦略にも影響しかねない。

したがって、ボールは習氏の側にある。習氏は米国の要求に応えられるだろうか。

まず、前提として理解しなければならないのは、米国を倒して世界一の覇権を目指すという中国の野望は「習政権になって突然、掲げられた目標ではない」という点である。10月26日公開コラムに書いたように、それは建国以来の戦略目標だった(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58138)。

米国の中国専門家であるマイケル・ピルズベリー博士が著書『China 2049』(日経BP、原題は「The Hundred-Years Marathon」)で、そんな中国の野望を明らかにした。習氏はこの目標に忠実であるからこそ、国家主席としての政治的正統性を備えている。

中国は長期的な戦略目標を秘匿しながら、長い間、鄧小平氏が唱えた韜光養晦(とうこうようかい)、すなわち「爪を隠して時を待つ」戦術に徹していた。習政権の新しさは、そんな持久戦法を捨てて、人民解放軍国防大学教授が唱えた「中国の夢」を堂々と中国共産党の理念に掲げた点だ。中国経済の躍進に自信を深めたのだろう。

産業スパイやサイバー攻撃による技術窃取は、習政権が「中国の夢」を実現するために、人民解放軍や情報機関が中心になって実行した作戦である。習政権は国家目標を初めて公言すると同時に「猫の仮面を脱ぎ捨てて、虎の本性を表す」戦術転換を図った。