ゴーン氏解任後の日産とルノー「難航必至の交渉の行方」

いま、争う余裕があるのかと問いたい

衝撃のカルロス・ゴーン氏逮捕から10日が過ぎた。日産自動車と三菱自動車はすでに取締役会の決議にて氏の会長職を解いた。解任だ。ルノーではまだCEO職に留まったままだが、いずれ解任されるだろう。

経営トップの解任は、司法判断の有罪・無罪とは別物だ。社内調査で不正があったと判断されれば、道義的な責任を追及される。すなわち、「経営トップ」として不適格と判断されれば、その任に留まることは株主も許さない。ルノーも不適格と判断せざるを得ないだろう。

日産とルノーは提携解消に向かうのか、あるいは提携維持となるのか、予断は許さない。20年近く両社の提携をウオッチした経験から今後を占いたい。

 

提携解消は双方にデメリット

まず、提携解消は、両社にとってデメリットがある。ルノー側のデメリットは、現在のルノーは純利益の半分近くは日産からの配当が占めるため、日産との縁が切れれば、収益が落ち込み、株価にも影響する。加えて、自動車産業では、自動運転やコネクテッドカーなど次世代技術の開発競争が激化しているが、こうした技術力は日産の方が上だ。日産からの技術協力がなければ、ルノーは次世代車で劣後することになるだろう。

日産側にもデメリットがある。ルノーの支配からは逃れられるが、提携を解消すれば、ルノーは日産株を売却するだろう。ルノーが保有する約43%分の株の価値は、日産の今の株価から予測すると約1兆7000億円になる。

この株式を日産が買い取って金庫株にすることは、日産の手持ち資金の状況から考えてもできない。そうなると、考えられる選択肢は、巨額の資金を投資できるオイルマネー系ファンドや中国系ファンドになる。今のルノーよりも厄介な株主を迎えるかもしれないリスクがあるのだ。

こうしたリスクがある以上、簡単には提携解消には踏み切れないだろう。実際、日産、ルノー、三菱の三社連合は、お互いのリソース活用、共同開発や共同購買・物流などによってシナジー効果を生み出すことで、自動車業界の中で生き残る戦略を立てている。

ゴーン氏は昨年9月15日、パリで記者会見し、3社連合の中期経営計画「アライアンス2022」を発表した。その中でグローバル販売台数を2022年までに1400万台に拡大する計画を示した。計画が達成できれば、世界1位の自動車連合となる。

20年ほど前、規模の利益を求めて、ダイムラークライスラーが誕生するなど、業界での合従連衡が進んだが、いずれの提携も失敗して後に解消した。「規模の利益」を求めて、経営哲学や設計哲学が違う会社同士が提携しても、結局は「血液型不適合」となってしまった。

しかし、20年前と違って、次世代技術に莫大な投資を要するいま、一定の規模と売上がないと研究開発投資を回収できづらくなっている。そのためにも、「規模の利益」が重要となり、三社連合が拡大路線を取る戦略は間違っていない。