三億円事件から50年…!未解決事件を解くための「ヒント」を話そう

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週刊現代 プロフィール

江藤 一課的な捜査手法の悪い面が出てしまったのかもしれません。「どうだ、どうだ」と繰り返し聞いて、曖昧に答えると「お前も仲間なのか」と疑うような強面な態度も取ったかもしれない。三課なら、もっと落ち着いた捜査をしたと思いますが。

永瀬 捜査の途中から現場を指揮した本庁捜査一課の平塚八兵衛氏が単独犯説を強硬に主張した結果、捜査に混乱が生じたという人もいます。

渡辺 今同じ事件が起きたとしたら犯人は逮捕されるでしょうか。科学捜査も進歩していますし。

江藤 そうですね。まず今は街の各所に防犯カメラがありますよね。それに当時、遺留品から判断できたのは血液型や指紋まででしたが、現在ではDNA鑑定もあります。

永瀬 三億円事件の被害額を更新して日本犯罪史上最高金額になった'11年の立川六億円事件というのがあるんです。先頃この事件を追った本を書いた際に取材したんですが、警察はあっという間にカネの流れを捕捉して、強盗たちが使った口座まで解明していました。

 

江藤 犯人像について、永瀬さんの意見をまだ聞いていませんでしたね。

永瀬 江藤さんの左翼組織犯行説をうかがってぐらついているんですけど(笑)。私自身は複数で、実行犯はいわゆる「少年S」だと考えてきました。

渡辺 いわゆる「立川グループ」説ですか。

永瀬 そうです。立川を根城にしていた暴走族である彼らは、三億円事件の少し前にも発煙筒をダイナマイトに見せかけてスーパーマーケットを襲う事件を起こしていて手口に共通性が多い。少年Sの父親は白バイ隊員で、白バイを日頃から目にする機会もありました。

渡辺 僕もSが関わったのは同感ですが、もう一人、計算高く冷たい心の大人が関わったと推測しています。そういう人物が、無鉄砲な少年を使ったんじゃないかと。

永瀬 Sは聞き込みで警察官が自宅を訪ねた日の夜に青酸カリで自殺しているんですよね。ただ、その青酸カリが包んであった新聞紙には、父親の指紋しかなかった。ここにも謎が残っています。

渡辺 真犯人が誰だったにしても、今も生きているとしたら、いつの間にか時代を象徴する伝説の犯罪に祭り上げられたことを不思議に感じているんじゃないでしょうか。

永瀬 物書きの立場から言えば、死ぬ前にはぜひ手記を書いてほしいですね。でも、この犯人はそんなことしないかな(笑)。

江藤 番号が控えられていた500円札だけでも束にして警察に送ってくれば面白いんですが。

渡辺 解決していればただの窃盗事件だけれども、未解決だからロマンを感じさせるんですよね。

永瀬 真犯人は誰で、3億円はどこに消えたのか。その想像の余地が広いことが、この事件の最大の面白さなんでしょう。

三億円事件の真相とはいったい何だったのか――。
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わたなべ・じゅん/'68年東京都生まれ。漫画家。2010年発表の『三億円事件奇譚 モンタージュ』で犯人と子供たちが辿る宿命を描く。現在マンガアプリ・コミックDAYSで大スケールサスペンス『デガウザー』連載中

ながせ・しゅんすけ/'60年鹿児島県生まれ。作家。三億円事件を題材にした小説『閃光』は映画化もされた。近著に『毟り合い 六億円強奪事件』(講談社+α文庫)など

えとう・しろう/'57年福岡県生まれ。警視庁公安部、内閣情報調査室などを経て退官。「濱嘉之」名で小説を執筆。近著に『警視庁情報官 ゴーストマネー』(講談社文庫)

「週刊現代」2016年12月24日号より