海上保安庁がひそかに励む「日本の領海を広げるぞ大作戦」とは何か

ドローンが陸地を探して…
半田 滋 プロフィール

日本政府は両国の申請に対し、ただちに口上書で異議を表明。大陸棚限界委員会は「審査を行わない」と決定したものの、2021年には中国と韓国の大陸棚延長申請の審査順がめぐって来る。

「その日」に備えて、中国、韓国とも日中中間線を越えて、日本側のEEZで調査を進めており、新たな科学的データを根拠に主張を強化したり、新たな申請を検討したりするなどの可能性が高まりつつある。

 

F35を1兆円で買うなら…

海上保安庁による今回の調査は、こうした中韓両国の動きに対抗するためのカウンターパンチの役割を果たすのだという。

日本側海域で新たな低潮線が見つかれば、日本のEEZが広がることになり、日中中間線をいっそう中国大陸側に押し出せる可能性が出てくる。海上保安庁は今回のAOVや航空機による調査のほか、海洋データを収集する大型測量船2隻の改修や別の大型測量船2隻の建造も進めている。

 

それにしても、広い海にAOVが20機、航空機1機というのは、何とも心もとない調査態勢ではないだろうか。

その理由について、海上保安庁幹部は「海上保安庁全体の予算がイージス護衛艦1隻分しかないからです」と予算不足を挙げる。海上保安庁の当初予算は毎年度約2000億円で、確かに1隻1800億円するイージス護衛艦とあまり変わりない。

海上保安庁は巡視船・巡視艇460隻、航空機81機を保有し、領土面積の約12倍にあたる447万平方kmもある領海・EEZを守っている。日本のEEZは世界第6位といわれている。

中国公船(奥)と海上保安庁の巡視船(海上保安庁ホームページより))

日本の防衛費が5兆円を越えるのに対し、海上保安庁予算の約2000億円はささやかな金額といえるだろう。AOV20機と航空機1機の購入に投じる金額は、来年度の概算要求分を含めても合計20億円弱にすぎない。

少ない機材をやり繰りするため、日本海と東シナ海での調査が終わるのは2026年度。太平洋側に振り向けて、太平洋で領海とEEZの拡張を図るのは、さらにその後になるという。なんとも残念な話ではないだろうか。

ところで、安倍晋三政権が来年度からの「防衛計画の大綱」で購入を検討しているとされる米国製のF35戦闘機は1機100億円以上。合計100機を購入する計画と伝えられ、合計1兆円にもなる。これにより対米貿易摩擦の解消も図るのだという。

一方、AOVはやはり米国製で1機4800万円。100機買っても合計48億円で、F35戦闘機1機の半分以下だ。

高額兵器の購入だけでなく、憲法に自衛隊を書き込む憲法改正を目指し、何かと自衛隊を手厚く処遇する安倍首相。しかし、日本を守るという意味では海上保安庁の役割は自衛隊と変わりない。安倍政権は海上保安庁の活動にも、もっと注目するべきではないだろうか。