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# マネジメント

部下が上司の気持ちを察して動く組織の士気はなぜ下がるのか

北欧企業の組織マネジメントに学ぶ
日本人は、初めての状況での対処が苦手な傾向があり、初対面の人とはあたりさわりのない会話だけをしていればいいと考えがちです。しかし、『肩書を減らすと業績が急改善する 北欧流小さくて最強の組織づくり』で紹介している成功している北欧企業では、ときに自分の考えや意見を主張していくことも必要な場面に遭遇します。それは日本の会社でもますます必要となっていることでしょう。
討議は、自ら目標に向かって能動的に動くために欠かせない要素。同質性の高い社会において下手に主張すると「出る杭は打たれる」のに対して、異質性を前提とした社会では、「主張しない者は存在すら認められない」からです。
北欧流最強組織のポイントである「異文化適応能力」。その重要な要素となる「自己調整度」について解説します。

説得力のあるマネージャーが備えている「ある能力」

「自己調整度」は、「相手が自分のことをどうみているのかを考えながら、自己の思考や行動を調整していける能力」の度合いのこと。

単に積極的に主張するだけではなく、相手からどうみられているかを意識しながら主張することも重要で、誤解を受ける可能性はできるだけ排除しなければなりません。

自己調整度が低いマネージャーは「言葉で説明するのが下手で、いつも独りよがりの意見ばかり述べている」のに対し、自己調整度が高いマネージャーは「自分の考えを明快に主張・説明でき、それが相手にどう受け止められるかを客観的に考えられる」と言えます。

この「自己調整度」は、次の「社会的積極度(ソーシャル・アサーティブネス)」と「自己監視度(セルフ・モニタリング)」のふたつの要素から成り立っています。

 

伝える力がアップする「社会的積極度」とはなにか?

未知の人に対しても、臆することなく自分の考えを主張・説明できる能力の度合いのことを「社会的積極度」と呼びます。

引っ込み思案にならずに主張できる積極性があり、なおかつ自分と文化的な背景や価値観が異なる人に対しても、わかりやすく自分の考えや意見を伝えるスキルを備えている度合いを判定する指標です。

日本人マネージャーは、部下に対して「説明すること」が苦手な傾向があります。

日常の業務では、部下のほうがマネージャーの気持ちを察して動くのがよしとされていて、マネージャーがいちいち細かく説明する必要はないと考える人すらいます。

よく言えば、「あうんの呼吸」「以心伝心」といった、言葉を弄さずとも、おたがいに気持ちの通じ合う「ハートトゥハート」のコミュニケーションをとても大切にするわけです。

ところが、日本人が得意な「ハートトゥハート」のコミュニケーションは、同じ文化や価値観を持っている集団の中で初めて成立するもの。文化的背景が異なる人を相手にすると、とたんに何のメッセージも伝わらなくなってしまいます。場合によっては、余計な誤解が生じる原因となってトラブルを引き起こしかねません。

文化的背景の異なる相手に対しては、「ハートトゥハート」ではなく、「マインドトゥマインド」のコミュニケーションスタイルが求められます。