Photo by iStock

老いた父、母に「やってほしくない手術」を医者が勧めてきた場合…

どうやって判断すればいいのか

本当に必要だったのか

以前、ビートたけし(71歳)は、最愛の亡き母(享年95)について、テレビ番組でこう語っていた。

「母親が骨粗鬆症だったから、医師から(スカスカになった骨の中に)スチールを入れる手術をするかどうか、聞かれたんだよ。そうすれば歩けるようになるかもしれないからって。

でも入れると痛くなるのはわかっていたから、迷っていたんだけど、本人が『歩きたい』って言うから手術してもらったんだ。

そうしたら案の定『痛い、痛い』って。それで歩くこともできなくなってさ。そのとき『俺はなんてことをしたんだろう』って苦しかったね。

結局、母親は亡くなるんだけど、火葬場で骨を拾うときにスチールが出てきてさ、それを見てもう俺、崩れ落ちちゃったよ」

 

こんなことなら手術しないほうが、幸せだったんじゃないか……。

病気や痛みを治すためには、手術が必要なケースもある。だが、若くて体力があるならまだしも、年老いた父や母にまで、本当に手術する必要があるのだろうか。老齢の親を持つ子供なら、いつかは直面する問題だ。

医者に勧められ手術をしたばかりに、親を苦しませてしまった場合、「なんとか断る方法はなかったんだろうか」と後悔の念に苛まれることもある。

その一方で、近年は医療技術の発達により、ますます高齢者の手術は増えている。日本胸部外科学会によると、'14年に実施された肺がん(原発性)の手術数は約3万8000件で、最多が70~79歳の1万5800件。90歳以上も58件あった。

太田健一さん(60歳・仮名)の父に、肺がんが見つかったのは87歳のころ。

「ステージはⅡ~Ⅲで、医者からは『手術しないと余命は1年。しかし、手術の成功率は五分五分』と伝えられました。父にそのことを正直に言うと、最初は『手術したほうがいいのかな』と揺れていました。

でも家族で話し合った結果、やはり、手術はやめることにしました。本人も命に関わる大きな手術で成功率が50%なのはやはり、危険すぎると自分でわかったのでしょう」

太田さんは父と一緒に、医師の前で、はっきりと「手術はお断りします」と伝えた。