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高血圧と痛風の薬は本当に死ぬまで飲み続けないといけないのか

みんな困惑している 

飲み続けるほうが怖い、という声も

「一度、高血圧の薬を飲み出すと、死ぬまで飲み続けないといけない、と思っている患者さんも多いのですが、そんなことはありません。脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高い人は別ですが、そうではない多くの人はいつでもやめることが可能です」

こう言うのは東京都健康長寿医療センター顧問の桑島巌氏だ。血圧が高くなる要因は、生活習慣の乱れがほとんど。

塩分の多い食事、運動不足、ストレスといった生活習慣を見直すと、血圧が下がる。そもそも、病院や健康診断で血圧を測ると、どうしても高い数値が出るという。

「これは『白衣高血圧』と呼ばれるもので、医師や看護師を前にして、緊張して血圧が上がっているだけなんです。病院で血圧が160を超えた人が、自宅で落ち着いて測れば、120しかなかったという例は珍しくありません」(桑島氏)

 

高血圧の薬を飲み始めると、連鎖的に薬が増えていくケースがある。たとえば血圧を下げる薬として、よく処方されるのがカルシウム拮抗薬だ。薬剤師で医薬情報研究所エス・アイ・シーの堀美智子氏が解説する。

「血圧を下げるために血管を広げるのですが、胃と食道間の圧力も弱めてしまい、胃の内容物が逆流することがあります。それで胃食道逆流症と診断され、胃酸を抑えるためにプロトンポンプ阻害薬が処方される。

これを飲めば胃酸が出にくくなりますが、副作用で下痢をすることもありますし、誤嚥性肺炎を起こすこともあります。

また、カルシウム拮抗薬の副作用で、心拍数が上がることもあります。動悸がすれば心臓にも病気があるのではと心配になり、今度は心臓の専門医にかかる患者さんもいる。

そうすると、今度はその症状だけを診た医師が別の薬を出す、という負の連鎖が起こる危険性もあります」

それなりに年を取れば体の不調は複数あるのが当然だ。

「そのために複数の病院に通うことも珍しくありませんが、それぞれの医師がそれぞれの症状を改善させることを目指した結果、薬の種類が増え、副作用の危険性が増加します。

こうしたリスクを減らすためにも、調剤薬局は一つに絞り、『かかりつけ薬局』を作るといいでしょう」(堀氏)

自分の老親がいつまでも、熱心に何種類もの薬を飲んでいる。その場合、少なくとも高血圧の薬は減らしていい。

新田クリニック理事長の新田國夫氏が言う。

「80代になると統計上、脳卒中や心筋梗塞の発症率が減ってきます。それなのに、以前と同じように血圧を下げてしまうと脳の血流が減少して、ふらついたり、転倒したりするなど低血圧の症状が起きやすくなる。

むしろ減薬をして、血圧のコントロールを緩く設定する必要があります。血圧のコントロールは元気に生きることが目的なのに、薬で体調が悪くなったら本末転倒です。

親を老人ホームなどに入所させる時も、薬を見直すタイミングです。施設に入所すると、血圧は下がるんです。それなのに今まで処方されていた薬を服用し続けると、血圧が下がりすぎて、転倒しやすくなります。

入浴中の事故が多いのも、血圧の下げすぎが原因の一つです。特養や有料老人ホームなどに入所する際、施設が減薬に前向きかどうか事前に聞いたほうがいいでしょう」