photo by gettyimages

神格化していたゴーン氏を強烈批判する日本社会の「ヤバい経営感覚」

だから、この国はナメられる

日産のカルロス・ゴーン会長が逮捕された。国内では、ゴーン氏がいかに会社を食い物にしてきたかという話のオンパレードになっているが、現時点において、事件の内容はほとんど何も分かっていない。

仮にゴーン氏が会社を食い物にしてきた人物であったとしても、そうした経営者を、正規の手続きを踏まない形で追放したところで、問題が根本的に解決するわけではない。

そもそも日産が経営危機に陥ったのは、当時の経営陣や従業員が会社を食い物にし、放漫経営を続けてきたからである。ゴーン氏も同じなのだとすると、首謀者が前経営陣や従業員からゴーン氏に変わっただけである。

一連の日産のスキャンダルは、日本企業のお粗末なガバナンス体制が生み出したものであり、ゴーン氏を逮捕したところで何も変わらない。

 

日産がルノーの軍門に下った理由は「放漫経営」

ゴーン氏が日産のトップに就任し、同社がV次回復を果たしたことで、同氏はカリスマ経営者としてもてはやされた。高い業績を残した経営者を評価すること自体は悪いことではないが、日本人はしばしば情緒不安定かと思うほど、常軌を逸した神格化に走ることが多い。

歯の浮くような賛辞の一方、ゴーン氏に対する激しい批判も一部には存在していたが、感情的なものがほとんどであり、的を射ていたとは言い難かった。ゴーン氏がなぜV字回復を実現できたのかという現実を考えた場合、ゴーン氏を神聖視することも、手のひら返しで批判することも合理的ではない。

日産は1999年に経営危機に陥り、仏ルノーに救済された。経営を立て直すためルノーから派遣されたのが、当時ルノー副社長だったカルロス・ゴーン氏である。

〔PHOTO〕Gettyimages

ゴーン氏の経営手法は極めて教科書的なものであった。トップダウンで徹底的なコストカットを行い、経営方針に反対する幹部は次々に更迭した。ゴーン氏への批判はたいていの場合、一連のコストカットやトップダウンのマネジメント手法に向けられることが多いのだが、考えなければならないのは、プロ経営者であるゴーン氏がなぜ、コストカットに邁進したのかという部分である。

高いブランド力を持つ著名企業が経営危機に陥るのは、たいていの場合、放漫経営が原因である。会社の経費を湯水のように使い、コスト感覚が麻痺し、最終的には巨額の損失を引き起こす。日産の経営危機はまさに放漫経営の典型であり、その意味では、経営陣も従業員も全員が共犯といってよい状況だった。