俳優の彼氏に「いっしょに街を歩きたくない」と言われ僕が思ったこと

日本ではゲイの俳優は成功できないの?
鈴掛 真 プロフィール

「ゲイの実情」を伝える手段

オネエタレントの活躍の影響か、「ゲイ=オネエ」「ゲイは、心が女性の人」と思い込んでしまっている人が多いのだけど、セクシュアリティと心の性別は、まったく別の話。

僕のように、オネエ言葉を使わない、女装もしない、見た目や言動がストレートの男性とほとんど変わらないゲイは、みなさんが思うよりもたくさんこの世界に存在しています。

「このスタッフさんも、どうせ僕のことをオネエだと決め付けて連絡してきたんでしょ」と思ったら、返事は意外なものでした。

「いいえ、そのままの鈴掛さんがいいんです!」

スタッフさんの言うことには、番組のプロデューサーが、オネエではないゲイを試験的に出演させてみたいと考えているんだとか。そうすれば、これまでオネエキャラしか目立たなかったテレビの世界に一石を投じることができるのではないか、と。

なんて挑戦的なアクション。

オネエ企画なのに、あえてオネエじゃない人を出すことで、『ゲイ=オネエ、じゃない』という実情を具現化できる

「こりゃ、一本取られたな」という思いでした。

こうして、僕は当日のオーディションにも合格。

出演時間はたったの3分程度でしたが、いまだに「いいともがきっかけで鈴掛さんを知りました!」と言われるほど、テレビの影響力と、『笑っていいとも!』がいかに凄い番組だったかを、改めて思い知らされます。

なにより、生放送中にタモリさんから「(オネエじゃない)自然な感じもいいね!」と仰っていただけたことが、これまでの人生の中で最も誇らしい体験の一つとなりました。

 

カルチャーが人を動かす

憧れのシンガーのファッションを真似たり、刑事ドラマを見て警察官を目指すようになったり。

カルチャーは、テレビや雑誌を通じて、人の言動に大きな影響を与える可能性を秘めています。

もしも今後、日本もハリウッドのように、ゲイの俳優が映画やドラマで活躍できるようになったなら、視聴者の意識にも大きな変化が生まれるはずなんです。
ゲイだって、ストレートと同じように社会で活躍できる人がいるんだ」って。
僕が『笑っていいとも!』への出演を決めたのは、そんな思いからでした。

僕なんかがテレビに2、3分出演したくらいでは、まだまだ何も変わらなかったわけだけど、同性パートナーシップ条例を取り入れる自治体が少しずつ増えてきた今後は、あらゆる業界でセクシュアリティをオープンにする人が増えてくることが予想されます。

だからこそ、ゲイをはじめとするセクシュアリティは「欠点ではなく、誇るべきものだ」と、今こそカルチャーが発信するときなのではないでしょうか。

微力ながらカルチャーを発信する作家の端くれとして、僕はそんなことを思いながら、今日もエッセイと短歌を書いています。

100人に3人がゲイである昨今、LGBTを「知らない」より「知ってる」ほうがよくない? ーー隠す必要がなければ「カミングアウト」も必要ないという思いのもと、「ゲイって心は女なの?」「ゲイって趣味じゃないの?」「ゲイの息子を持つ親として大切なことは?」「ゲイは性に奔放ってホント?」等々の素朴な疑問に、真正面から答える短歌&エッセイ集。