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俳優の彼氏に「いっしょに街を歩きたくない」と言われ僕が思ったこと

日本ではゲイの俳優は成功できないの?

俳優の元彼から言われた一言

数年前、俳優の卵の男性と付き合っていたことがあります。オーディションを受けては、なかなか結果が出ない日々をおくる彼。僕も作家として鳴かず飛ばずだったので、「売れるように、お互いがんばろうね!」と励まし合っていました。

その頃、僕はすでに家族にも友人にも同性愛者だと隠さないオープンリー・ゲイでしたが、彼は完全なるクローゼット。人生のほとんどを、ストレートのふりをしながら生活してきた人でした。

おまけに彼は出不精で、デートといえば、ほとんどがお互いの家。そしてときどき近所で飲んだり、散歩したりする程度。お互いの友人を紹介し合うようなことはありませんでした。

そんなある日、僕がいっしょに買い物へ行こうと誘うと、彼は申し訳なさそうに、こんな一言を。

「ごめん、いっしょに街を歩きたくない」

ガーーーーーン!!

 

オープンリー・ゲイの歌人である鈴掛真さんは、著書『ゲイだけど質問ある?』というエッセイで、「ゲイってノンケを襲うの?」「同性から告白されたらどうすればいい?」等々の不躾な質問に正直に答えている。その鈴掛さんに現代ビジネスに向けて「同性愛者のリアル」を書きおろしエッセイで伝えてもらう第二回。俳優の卵だった彼に言われた一言は、鈴掛さんに大きなショックを与えて……。(第一回はこちら

オープンリー・ゲイの僕といるところを誰かに見られれば、自分までゲイと疑われてしまう。その可能性を1%でもなくしたい、と。言わんとすることは、わかる。わかるよ。わかるんだけど、あまりのショックで、逆に笑えてきました。なにそれ、ウケる!!

確かに、恋愛を禁止されているアイドルも、民衆が寝静まった夜中の街や、お互いの自宅で密会を重ねるって聞くしね。

「お互いスターでもないんだし、そんなに過敏にならなくたって……」と思ったけど、下積み中だからこそ、将来成功できなくなるかもしれない心配事を、少しでもなくしたかったのでしょう。

もっと彼といっしょにいろんなところへ出かけたかったのだけど、僕はしかたなく彼のお願いを了承しました。だって、彼がクローゼットでいることを望む以上、恋愛を存続するには、オープンリー・ゲイの僕が彼に合わせるしか方法はないもの。

街を並んで歩かないようにしただけじゃなく、いっしょに写真を撮ることもなく、SNSのフォローも外して、僕と彼が知り合いだとわかる情報を洗いざらい、消去。削除。

一旦はそれで事なきを得たものの、やっぱりオープンリー・ゲイとクローゼットでは価値観のすれ違いが多くなって、関係がそう長くは続かず、結局お別れすることになりました。